サイボーグな彼女 7

帰らない 17 ページ15

私の後ろを常に5m位の間隔を空けて
北山さんが歩いていた。


でもマンションに入る前にふと気づく。

北山さんが居ない。



…帰ったかな。

エントランスに入って郵便とか取り出しても北山さんは来ない。



連絡するほどでもないけど。

まぁいいか
なんて思いながら家に入って靴を脱いで上がる。




あ、鍵かけたかな。



そう思ってドアに手をかけた瞬間
ドアがなかなかの勢いで開く。

咄嗟にドアをつかもうとしたけど届かなくて
壁に手をついたけど滑る。



あ、転ぶ、と思ったけど

「うわっ！」

声を上げてドアの向こうにいた北山さんが
慌てて私を受け止める。



「……っぶねー」

「ごめんなさい」

「いや、こっちがごめん。てか鍵かかってなかったけど？」



腕の中から北山さんがジロリと私を睨む。



「今掛けようとしたんです」

「へーへー、わかりましたぁ」



私が言い返すと北山さんは私を抱き起こして玄関に立たせると、

「ん、アイス買ってきた。食おっ」

そう言ってコンビニの袋を見せてくる北山さん。



「太りますよ？」

私が言うと

「そーなんだよ、最近夕飯でAのメシ食えてねーから太ってんだよ。それについてもこの後審議な」

そう言うと靴を脱いで「おじゃましまーす」って私を通り越してリビングに向かってる。



相変わらずでびっくりする。

正直私はまだあの女性が北山さんの彼女じゃなかったことを消化出来てないんですけど。

確かに北山さんからしたらそれは関係ないですもんね。



ご飯の件を審議って言うけど
私の話を聞いてなかったのに怒ってきたことだって
私からしたらまだ未消化なんですけど。


洗面所で手を洗ってうがいをしてからリビングに向かうと
北山さんは電気を常夜灯にしてて薄暗い。



「…電気つけないんですか？」

「ん？Aは暗い時の方が素直に話すから」

私が聞くとそう言ってニッて笑ってる。



素直に話すって何？

なんかさっきから私が素直じゃないみたいな言い方なんらですけど。

何だか納得いかない。



呆気に取られてる私をよそに「ま、俺もそうかー」なんて言いながら台所で手を洗って飲み物用意したりしてる。




飲み物をリビングに持ってきた北山さんがリビングのソファの前に飲み物を置いてその横にアイスを置くと

「はい、こちらにどうぞ」

ってまるで自分の家みたいに私をソファに座るように促す。



私がソファに座ると満足そうに笑った。



…何だか色々おかしくないですか？

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