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ヤマアラシな彼 2 -side2- 10 ページ23

Aさんのマンションの前について部屋を見上げると明かりがついていた。



マンションの入口でインターホンを押す。



『…はい』

Aさんの硬い声。




「こんばんは、二階堂です」

『こんばんは』

「…少し話がしたいんですけど」

『私はしたくないです』


プツッ。

切られちゃった。



ダメだ。

ここで諦めちゃダメだ。



俺はもう1回インターホンを鳴らす。




『…もう放っておいて』

俺が何かを言う前に言うAさん。



「お願い話聞いて?俺、Aさんと…」

『この前の子とダメになったの?』



俺が言い終わる前に言うAさん。

え?



「…何言ってるの?」

『この前の女の子にフラレたから私のとこに来たの?』

「元々その子は共通の友達の結婚式の動画撮る為にしか会ってないけど」

『………』



しばらく無言のままだった。

そして開くエントランス。
これは入っていいってこと?



とりあえずAさんの部屋まで行くとインターホンを鳴らす。

無言で開くドア。



「こんばんは」

俺が言うと

「…こんばんは」

弱々しく返すAさん。
何故か涙目。




「なんでそんなに泣きそうになってるんですか?」

思わず笑っちゃう。

「…だって…」

言いながら結局涙が零れてるAさん。

「もーー、何なの?」

俺はドアを閉めるとAさんの涙を指で拭った。



そしてようやくわかった。



Aさんはミツさんが言う通り相当めんどくさい。

勝手に判断して勝手に遮断するんだ。
あの無表情は無感情じゃなくて「悲しい」のサインなんだ。



俺がAさんのこと好きじゃなくなったって勝手に決めて悲しんで、
出勤時間も変えるくらい避けて、
そしてこうして1人で泣くんだ。



でもきっとそれは怖いからだよね。
俺と同じ。

大好きな人が離れるのが怖いんだよね。

俺は人に興味ないと思って人と壁作りまくって、
Aさんは「他に好きな人出来た」って言われたくなかったから俺に壁作ってたんだ。



俺も相当面倒な人だけど
Aさんもびっくりするくらい面倒な人だね。



奥からチェリーちゃんが走ってくる。
そして俺とAさんの足元でくるくる回りだした。

「あはは、チェリーちゃん久しぶり」

俺が抱き上げるとチェリーちゃんが顔を舐めてくる。
相変わらず可愛い。



「二階堂君」

「はい」

「ごめん、私…」

「もーいいよ、分かった」

「え?」

「全部分かった」



分かったから、俺から言わせて?

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shizu(プロフ) - mayumitsuさん» コメントありがとうございます!私もミツ担なのでどうしても北山さんの圧が強めになってしまいます。少しずつ更新しますのでよろしくお願いします! (2019年4月10日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - こんにちは★こちらも読んでます(^-^)不器用な二階堂くんと、どうなるのか気になります。そして北山さんのiQOS、奪って吸える関係たまらんですね…!!!北山担なのでそこに興奮しました(;∀;)笑。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 90f4627b60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年4月1日 8時

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