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お隣りさん S -side you- 2 ページ35

その日。

食材を半分こして帰ろうとしたら
家の前に元カレがいた。



慌ててる私の話を健永は全部聞いてくれた。



「元カレ、最低な人なんです」

そう言うと

「でもその割にはさっき少し嬉しそうにも見えたよ?」

健永が優しい顔。

当時はまだ健永くんって呼んでた頃。



「……えっ?」



言われるまで気づかなかった。



でもその嬉しかったとしたら
元カレが「俺が悪かった」って言う場合だけだ。

そしてそう言われたところで
あなたと戻るつもりはない
って言いたい。

私が味わった悲しい気持ちを味あわせたい。



だから健永に

「ひろみちゃんさ、ホントは迎えに来て欲しかったんじゃないの?」

そう言われた時にそれだけは違うと思ったから

「そんな事ないっ!」

すごくいい勢いで答えて健永がびっくりしている。



でも『俺が間違ってた』とかじゃなくて
違う用事だったらどうしたらいいかわからない。



「…でもどうしていいか分からない」



勝手に着拒して出てったことで
部屋の違約金払えとかそういう話だったら?



そもそも顔を見て話すのが怖い。
逃げるように出てきたし。



途方に暮れてたら健永が優しく笑う。

「1度会って話したら?」

「え?」

会う?
元カレと?

何で?

びっくりして健永を見た。



「家を出て来た時に会って話したの?」

「…してない。家に居ない時に戻って置き手紙して出てきたの」

首を振って答えると

「それって一方的にひろみちゃんが出てったから話出来てなくてモヤっとしてるんじゃない?」

そう健永は言う。



…私が?

どんな答えでも別れるって決めてたから
何も言わずに出て来たけど
本当は私も終わらせたかったってこと?



「ひろみちゃんは行先を元カレさんに伝えて来たの?」

「…親と友達少しにしか言ってない。会社の人にも言ってない」

「ほら、それって元カレさんがひろみちゃんを頑張って探しに来たってことだよ」



確かに。
元カレはどうやってここを調べたんだろう?

元カレが知ってる友達や会社の同僚には
誰にも言わずにここに来たのに。



「そうかな」

「そうでしょ」

だとしても話したくない。
困ってたら

「…とりあえず話してきたら?」

「うん」

「ここで待ってるから、終わったら話聞くよ」

そう言う健永。



結局元カレは居なかったけど
健永のおかげで話す勇気が持てた。



健永が待っててくれるなら
元カレとも話せる。

そう思うくらい
私の中で健永の存在は大きかった。

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shizu(プロフ) - mayumitsuさん» コメントありがとうございます!私もミツ担なのでどうしても北山さんの圧が強めになってしまいます。少しずつ更新しますのでよろしくお願いします! (2019年4月10日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - こんにちは★こちらも読んでます(^-^)不器用な二階堂くんと、どうなるのか気になります。そして北山さんのiQOS、奪って吸える関係たまらんですね…!!!北山担なのでそこに興奮しました(;∀;)笑。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 90f4627b60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2019年4月1日 8時

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