この想いの結末は 8

after 月が綺麗ですね 13 ページ48

そう言っても
何も反応しないA。

頭を軽くポンポンする。



「でも送ってすぐ恥ずかしくなって『部屋からも見えます』って送ってごまかしたんだよね」



何も答えないからそのまま話すけどAは何も言わない。

さすがにおかしくない？



「ね、聞いてる？」



顔を覗き込むとAは嬉しいのか恥ずかしいのか真っ赤になってて

「…聞いてる」

って小さい声で答える。



そんな本気で照れてるリアクションされるとこっちも照れちゃう。



ギュッて抱き締めたら抱き返してくれて。



「…さっき太輔が『今日は月がキレイだね』って言ったから『今日は』って言うからあの時は深い意味が無かったのかな、って。だから1人で恥ずかしくて…」

「あはは、そういうこと？」



笑っちゃう俺にAがちょっとムッとしたのか俺の腕を握ってた手を離す。



「でもあれからずっと好きな気持ち変わらないよ？」

Aが手を緩めた分抱きしめる。

「……」

そしたらAはそっとまた腕を掴んでくれた。



もう大丈夫かな。

そして俺にはまだ聞きたいことがある。



「ところでさ」

「ん？」

「さっきの変な人って何？」

「…………ん？」



そして今の変な間は何？



「盗撮魔だとか何だとか…」

「あー、居たね。一時期テレビでも話題になってたよ？でももしかしたらローカルニュースだったから…」

「あのね、そういう話じゃなくてね？」

でもこのリアクションで分かった。



これは心配かけたくなくてわざと黙ってたな？



「だから駅までは絶対2人で帰るようにしてたし裏道は使わなかったし、あの駐車場も停めてないからね？」

「その人が捕まってからは？」

「………使ってないよ？」



Aのいいところは嘘をつけない所だな。



「あ、でも1人の時は使ってないから」

1人じゃないから怒られないって思ってるAは
結局使ってたことを言っちゃってる。



「一緒に居たのは女の子？」

「…男の子もいた」

「ならまだいいけど」



その男の子はどういう子？

男の子が居るなら居るでまた心配が出て来ちゃうけどそれについて何も言ってくれないA。



「悪いことしてないし。太輔みたいに銀座とか六本木にいないし。私はほとんど家と職場の往復しかしてないもん。心配ならGPS見ればいいしっ」

そう言ってAがギュッて俺の腕を握ってくるから。



お互いと安心のためのGPSが逆に俺が不安にさせてたって分かる。




それは気づかなかった。

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