この想いの結末は 8

after 月が綺麗ですね 8 ページ43

Aside


アコちゃんの話も太輔の話も
結局アコちゃんと武田さんがラブラブっていう話なわけで。

聞いてるだけでホッコリする。



「いま思えば直晃さん、いつも私を守るものくれてた」

「そうなの？」

「ホワイトデーにルームソックス、誕生日に傘、水族館で偽の鍵つきのキーホルダー、クリスマスにストール、この前のホワイトデーはプレゼントの他に防犯ブザーくれたよ」

防犯ブザーってまた物騒な。
あ！でもその頃って確か…

「あぁ、駅に盗撮魔と痴漢が出るって噂になってた時だもんね」

「そうそう」



その頃はうちの店も夜の帰りは駅まで1人で帰らないようにしていたっけ。

私とアコちゃんが話してると

「何？その盗撮魔と痴漢の話」

太輔が食いつく。



あ。言ってなかったかも。



「すぐ捕まったんだけどね。駅周辺に出たの。そのタイミングでホワイトデーだったからバッグと一緒にプレゼントしてくれたんだー」

「…へえー、そんなのが出てたんだー」

「ネットニュース見てすぐ直晃さんから連絡来たよ。うちが1Fだから心配したんだと思う」

「ふぅーん」



アコちゃんの言葉に太輔が不満そうにこっちを見てるのが分かるけど。

言ったところで心配かけるだけだし
明るいとこしか通らないから関係ないし。



そうこうしてるとインターホンが鳴る。

モニターには武田さん。



「ほら、アコ出迎えてやれよ」

「…うん」



太輔の言葉に頷くとモニターに向かって
受話器を取って武田さんと会話してるアコちゃん。

何だか照れくさそうにしてて可愛い。



「今日何作ってくれたの？」

「アコちゃんがラタトゥイユ作ってくれて後は全部買ってきたよ」

「へー、何？」

「デパ地下で買ってきた惣菜とピザと月見団子！」

「あぁ、今日は中秋の名月だもんね」



太輔にそう言われて
さっきの『月が綺麗ですね』を思い出す。



「……どした？」

多分急に真っ赤になった私に太輔がびっくりしてる。



「わ、私！トイレっ！」

その場に居られなくなって慌てて太輔から離れた。



トイレに駆け込んで一息つくと
玄関から武田さんとアコちゃんの声。



「わーい！これ私の好きなやつっ！」

「そう言ってなーと思って買ってきた」

「ありがとう！嬉しいっ」

「ん」



武田さんの優しい声色に私まで何だかドキドキする。

2人が幸せそうでホントに良かった。




サプライズは迷惑かもしれないけど
何か2人に出来ることないかなー。

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