この想いの結末は 8

タナゴコロ ページ5

Aside


車で来てて良かったー。

アコちゃんとサウナに行ってガンガン汗をかいて化粧も面倒だからすっぴんで帰る。


アコちゃんと別れた後、カバンに入れたままのスマホを確認すると太輔から5回着信が来てる。



いまはまだ恨み言しか言えないから。




明日は土曜日なのに休みが貰えたから
たまにはいいよね。

気分転換に遠回りして帰る。

一番海を長く走れるコース。




『タナゴコロ』聴きながら大きな声で歌って帰ったら歌詞が染みて涙が出てきた。



海沿いを走り切ったあとUターンしてまたスタートまで走るともう1回海沿いを歌いながら走る。


その頃には涙も止まった。




あースッキリした。



時計を見るともう1時過ぎてる。



そろそろ帰ろ。

のんびり運転して帰った。
途中でコンビニで温かい飲み物を買って一息つく。




川を越えてトンネルを抜けて走る。

もうすぐ2時になろうとしていた。



うちに入る手前の道を入ろうとして手が止まりかける。



そこには見覚えのある車。



「太輔………」



全身が止まる感覚。


もう避けられないよね。



太輔の車の後ろに車を停めると太輔が降りてきた。

私も車を降りると太輔が近づいてきた。



「お帰り、不良娘」



言いながら太輔が笑ってる。
私が何かを言おうとしたら、太輔が思いきり私を抱き締めた。



「ごめん」



切なそうな太輔の声。

こんな声聞いた事なかった。



でも変わらない温かい太輔の腕の中。
そして太輔の香り。

腕につつまれてそんな声を聞いたら私もすんなり出た。



「私の方がごめんなさい」

「ううん、俺だよ」



言って太輔がものすごくキツく抱き締めてくる。



「やっと会えた」



太輔が言うから涙が溢れる。



「うん」



あ、太輔の服濡れちゃう、と思って離れようとしたら太輔がさらに片方の手を私の腰に回して抱き締めて

「いいから、濡れても」

太輔が離してくれない。



いよいよ涙が止まらなくなる。



「うぅ〜ーー」

「ほらやっぱり泣きたいんじゃん」



太輔が笑って背中をぽんぽんする。



「ゴメンな、泣かせてるの俺だな」



耳元で言う。

私は否定も肯定もしなかった。



正しくは出来なかった。



涙が本当に止まらなくて。

悲しくて止まらないのか嬉しくて止まらないのか。

太輔に腹が立ってたのか自分を責めたいのか。



全くわからなくなった。



とにかく涙が止まらなくて、ただ太輔の腕の中で子供みたいに泣きまくった。

愛しい→←まだ間に合う

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