この想いの結末は 8

after ずるい 3 ページ35

Aside


太輔に後ろを向いて貰って
太輔の耳をギュッて手で塞ぐ。



「太輔、聞こえる？」

声を掛けたけど無反応。



…大丈夫かな。



「……タナゴコロずるい」

小さい声で言う。

太輔は振り返らないから続けた。

「おでこにキスだけ？」

まだ何も言わない。




「ツアーお疲れ様」

もっと小さい声で言う。




うん、これで全部だな。



「はい終わり」



言ってから耳を塞いでた手を離して後ろから太輔に抱きつくと

「おわっ！」

太輔が驚いてる。



ってことは本当に聞こえてないのかな。



「満足した？」

後ろから回す私の腕をぽんぽんってして笑いながら太輔が言う。

「うん」

私が頷いて太輔の首元に顔を埋めると少し笑ってる太輔。



「あー、早くAが俺に本音言ってくれるようにならないかなー」

そう寂しそうに言う太輔。



ずるい。

私が素直じゃないみたいな言い方。



「だってただのワガママだもん」

「いいじゃんワガママ。言ってみてよ」



結局言うなら耳塞いだ意味ないじゃん。



「言わない」

「ふふふ、まぁそうだよね」



ギュッて腕を絡ませる太輔。



「今日Aが来てくれて良かった」

「え？」

「部屋に明かりついててお風呂にすぐ入れてってなんかいいね」



太輔が振り返って本当に嬉しそうに笑ってる顔を見たら私も嬉しくなっちゃって。

私から太輔にキスをした。



「たまには私だって癒すよ？」

「…ありがとう」

驚いてる太輔。



そっか。

おでこにキスが不満ならこっちからキスすればいいじゃん。



もう1回チュッて音を立ててキスをすると

「俺我慢してるんだけど？」

そう言って不満そうに私を見てるから

「私も我慢してるもん」

ホントはいっぱい甘えたいけどもうすぐ日付変わるし。



「ならもう甘えちゃう？」

太輔が言って胸にキスするから

「そうだね」

そう答えてお互い甘える。




その流れで結局何で拗ねてたかを伝えると

「あー『タナゴコロ』ね」

「私も聞きたかった」

「それは正直どうしようもないけど」

そう言ってギュッて抱きしめてくれる太輔。



「でもそれで拗ねちゃうくらい『タナゴコロ』好きでいてくれたならありがとう」

「あれ？太輔に言ってなかった？」

「知らなかったよ？」

ん？
言ってなかったのかな。



「まぁいいや、一番の目的果たせたから」

「え？何？」

「だから…」

そう言って太輔を見つめると改めて言う。



「ツアーお疲れ様、太輔」



-END-

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