この想いの結末は 8

それから ページ19

Aに夜中に会いに行ってから2週間。



「…足りない」

「何が？」

「Aが」

「…お前、それ絶対この車以外で言うなよ？」



ドラマの撮影を終えて帰り道。

車に乗るとマネージャーに愚痴る。



最近は定例LINEすら途絶え気味。
朝に『ごめんなさい！寝てました！』って来ることもしばしば。



「仕事だろ？仕方ねーだろ。Aちゃんもめちゃくちゃ忙しいらしーじゃん」

「何でマネージャーがそれ知ってんの？」

俺のとこ連絡すら来てないけど。

「アコが言ってる。Aちゃんと全然遊べてないって」

「へー、ちなみにそっちにアコは？」

「ん？昨日泊まりに来た」



付き合い始めてからアコのことを全く隠さなくなったマネージャー。

マネージャー陣にも彼女が出来たと伝えたらしく
この前キスマイ初なのか知らないけどマネージャーだけで飲みに行ったらしい。

いつもは飲み会だと誰かが飲まないって言い出すのに全員飲んだって言うからこれは相当なことだ。

しかもメンバーが(特にニカ千が)どれだけ「行きたい！」ってゴネても参加させてくれないとか。
マネージャー達も相当喜んだってことだ。



「さすがにこの時期、週刊誌とかマジでヤバいからな。見つかったら一発アウトだし俺も庇えねーからな」

「はーい」

「Aちゃんもそれを分かってるから連絡してきてねーんじゃねーの？」

不貞腐れてる俺にマネージャーが言ってることが多分正解で。



…確かにそんな気はする。

中途半端に連絡取ると会いたくなっちゃうし。



仕方ないんだけど。

さすがに落ち込む。




「じゃあ、明日は7時に迎えに来るから」

「はーい」

俺が降りようとすると

「太輔」

マネージャーに呼ばれて振り返る。



「出来るだけ今月中に1日休み取れるように何とか調整するから」

そう言うとマネージャーはニッて笑った。



「俺もついて行こうか？静岡」

「むしろ運転してってよ」

「あはは、それもいいよな。今日は早く寝ろよー！」

俺は車を降りるとマネージャーを見送る。



ため息をついてエントランスで郵便をチェックしながらエレベーターに乗る。



…そういえば今日スマホ見てないな。

スマホを見るといくつかのメッセージの中にAからも来てる。



『盗っ人に気をつけてね』



…何だ？


部屋についてリビングに向かうとソファにいつものブランケットがない。

あれ？と思ったらソファの上に手紙。



『借ります』



…盗っ人ちゃうんかいっ！

盗っ人さん→←確かに言ったけど

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