この想いの結末は 8

すれ違ってる ページ2

『太輔こそ、仕事お昼に終わるんじゃなかったの？』

Aの絞り出すような声。


…え？
俺が責められてる？


「仕事長引いてさっき帰って来たけど」

俺が返すと無言になる。




「Aは、夕方には終わってるよね。何で帰りが今なの？」

出来るだけ冷静に聞く。



『……』



無言なA。



「A、黙ってたらわかんないよ？」



どうしても口調が責めちゃう。
責めたら絶対Aは言ってくれないのを分かってるのに。


ただ、今日はなんだかんだ言ってバレンタインなんだ。

電話を楽しみにしてたのに。





こんな形で声を聞くことになるなんて。





『…ごめんなさい』


完全に涙声のA。



え？
何で泣くの？



「A？どうして泣くの？」

『……』

「…何か言えないようなことでもしたの？」

『……』

ただAが鼻をすすってしゃくりあげてる声だけする。




「…誰か他の人とでも過ごしたの？」

もしそうだったらすごく嫌だけど。



そう俺が聞くと、

『…それは太輔じゃなくて？』

返ってくるAの声が聞いた事ないくらい辛そうな声。



「え？」



思わず聞き返しちゃうと、プツプツ音がする。


『…ごめん、電池切れちゃう。変な事言ってごめんなさい。おやすみなさ…』



最後まで言えずに電池が切れたんだろう。

通話終了になってる。




多分本当に電池切れだ。

仕方ない、納得行かないけど寝るか。



寝室に向かうとベッドサイドに見慣れないものがあった。

小さな紙袋。



…あれ？なんだこれ。



中を開けるとリラックス効果のあるハーブティーの茶葉としおり。



『大好きな太輔へ
Happy Valentine
お仕事頑張ってね
活躍楽しみにしてるよー！ A』



…そういう事か。

Aは俺が昼に終わるって言われたから仕事終わってここに来たんだ。

それで俺が帰って来ないからギリギリまで待ってて帰ったからいま帰って来たんだ。

多分マネージャーが見たAかホンモノで、そのタイミングで帰ったんだろう。




Aからしたら昼に終わるって言ってたのに
帰って来ない俺の方が怪しいか。



そしてさっきまではリビングに山のようなお菓子。

誤解もしてるだろう。




慌てて電話を掛けたけどAは電源を切ったままだしメッセージは翌朝以降も既読になることは無かった。

大丈夫大丈夫→←どこに居るの？

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