この想いの結末は 8

after あの時の言葉の意味 3 ページ31

「では髪から洗います」

「はーい」

お風呂用のイスに座る俺の背後にまわって
俺の髪を洗うA。




「…どしたの？本当に」

「何が？」

「お風呂一緒に入ろうとか滅多に言わないじゃん」

「そうだね」

俺が話しかけてもAは洗うのに夢中で返事が適当になってる。

ま、いいか。
気持ちいいし。



「かゆいところはございませんかー？」

「ないでーす」

美容院みたいなやり取り。



シャンプーとコンディショナーをしてくれた後、
体も洗ってくれるA。



普通に洗ってくれてるんだけど
背中が異様に長い。

「A？」

「なぁに？」

「背中、もう良くない？」

「え？痛い？」

「ううん、そんなことないけど」

「なんなら手で洗うよ？」

「え？手で？」

さすがに振り返っちゃうと何だか楽しそうなA。



「なんか太輔の背中好きだなぁって思って」

そう言って抱きついてくる。



「…この背中が皆に見られたのが寂しいのもあったけどそれよりもっと見たくて」

言いながらさらにギュッと抱きついてくるA。



…あー、分かった。



「ドラマ見てくれたの？」

声を掛けると返事をしない代わりにAは一度離れて泡を流してからまた背中に抱きついてくる。



「ものすごくカッコ良かった」

「あはは、ありがとう」

前にまわってるAの手に俺の手を重ねてギュッと握ってみる。

「少し妬けたけどそれよりカッコよくてドキドキしたよ」

「そっか」

嬉しくて笑うとAがさらに指を絡めてくる。



「この背中をもっと近くで見たくて今日急に来ちゃった」

言いながら背中に頬を寄せてるA。

「なるほどね」

だから背中背中言ってたわけね。




「背中だけでいいの？」

俺が聞くと

「…今日はね。明日もお互いお仕事だし」

そう答えて離れるA。



自由になった俺はAに振り返って

「俺は足りてないけど」

Aを抱き締める。
裸同士だからものすごく気持ちイイ。



「今日はダメだよ、明日撮影でしょ？」

「…うん」

そうなんだけど。



「ねえ、ちょっとだけ」

言ってキスをしたら

「ダメ、太輔コレ以上したら止まらないでしょ？」

そう言って俺の口を手で塞ぐ。



…よく分かってるよね。



「でももう止まらないんだもん」

そう言ってAの手を退けると舌を絡めるキスをする。

「んーーっ」

Aが抗議してるけど俺は止めない。

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