この想いの結末は 8

頑張れる存在 ページ24

22時過ぎ。


『終わったー！いまホテルの前だよ』

AからLINEが来る。



部屋番号を送るとすぐに既読になって10分後。

ようやくチャイムが鳴る。



ドアスコープを覗くと、
半泣きのAとアコ。



何でアコ？



「ここ、カードキーないと客室来れないんだって」

アコが笑ってる。



…なるほど。



「ごめん。そこまで気づかなかった。アコありがとう」

「いえいえー。Aちゃんまたご飯行こっ」

ヒラヒラと手を振ると行ってしまうアコ。




「アコちゃんありがとう」

「うんっ」

Aの言葉にニコッと笑ってるアコがいつもと違って柔らかい。



恋の力ってやつか。

多分マネージャーの影響だよな。
すごいなマネージャー。



とりあえずAと過ごしたい。

「入って入って」

「お邪魔します」

人目にあまりつかないようなのか、アコが居なくなった途端そそくさと入るA。



ドアを閉めてAが俺を見上げる。


「遅くなっちゃった」


少し疲れた顔。
でも急いで来てくれたのが伝わる。

正面からAの顔を見た瞬間
ここしばらくものすごく寂しかったのを改めて感じる。


前までは
Aが頻繁にLINEをくれてて
でもそれなのに俺は返してなかったし。

それに俺が甘えてたよな。


そのくせ俺は自分ばかりで。
帰ったら毎日LINEしてよってワガママ言ってて。



ごめん。

Aを思い切り抱きしめる。



「…太輔？」

「会いたかった。最近LINEもないから寂しかった」

「ごめんなさい」

「ううん、俺ワガママばっか言ってる」




改めて思う。

Aに求めてばかりで俺は返せてないのに
いざAが大変な時に何も出来てない。



「俺、ちゃんとAの彼氏出来てる？」

「え？」

「自分の都合ばっかAに押し付けてるからさ」



俺なら面倒だなこんな彼氏。

全然会えないし無理ばっか言うし。



「最っっ高の彼氏だよ？太輔いるから私頑張れるんだからね？」

「…そーなの？」

「そうだよー、彼氏が頑張ってるから私も負けずに頑張ってるんだもんっ」

そう言って顔を上げるA。



あまりに真っ直ぐ見てくるから何だか照れくさい。



さらに

「今までは自分がするネイルをお客様に満足してもらえればいいや、って思ってたけど。太輔が色んなことに挑戦してるの見て刺激受けて試験受けようと思ったんだよ？」

なんて言う。



俺に刺激受けたとか。


ものすごく嬉しいこと言ってくれるじゃん。

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