この想いの結末は 8

半日と半日でも ページ22

結局丸一日の休みは取れず。

マネージャーが頑張って取ってくれたのは
ホワイトデーの3日前に午後休みの次の日の午前休みだった。

しかも休みが取れたって確約出来たのが休みの前日。

今の仕事が仕事だから仕方ないけど。

さすがに急過ぎる。



「俺は静岡行くけど？」

マネージャーが言う。

「……行く」

カモフラージュになるからとりあえす行くのは一緒の方がいい。

「ん。俺はアコと泊まるけどお前どーする？」

しれっと言うマネージャー。

「Aに聞いてみる」



ただ、
Aとは3日間音信不通だった。


ブランケットを交換してからいよいよ連絡が途絶えがちになる。

なんなら俺の方がLINEしてるくらい。



相当忙しいんだな。

だからブランケット交換に来たのかな。



LINEを打ってみる。

『明日の午後と明後日の午前が休みになったんだけど会える？』

当然、既読はつかない。



「予約だけしとくか？」

「……うん」

泊まってくれるといいけど。



撮影が終わってスマホを見ても返事がない。


結局返事が来たのは翌朝だった。



『遅番だから終わるの遅いけど会いに行っていい？』



…やった。
会えるんだ。



『むしろ泊まりに来て。部屋分かったら連絡する！』



送ったらすぐに既読がついて返信が来る。

『行って大丈夫？』

『マネージャーんとこにアコも来るよ』



と、スマホが鳴ってAから着信。

『じゃあ行く！』

勢いよくAが言う。


電話の弾んだ声で喜んでくれてるのがダイレクトに伝わって笑っちゃう。

「うん」

笑いを堪えながら返事する。



『ね、太輔』

さっきと違う柔らかい声のA。



「ん？」

『何でもいいから話して』

「何でも？」

何でもって言われても困るんだけどなー。



『声、聞きたい』

少し恥ずかしそうに言ってるA。

「……」

どうしよう。
何話そう？


「仕事大変？」

『うん。今ね、昇格試験の前だから』

「へー、そんなのあるんだ」

そう言うと試験の問題とか内容を話してくれる。
トレンドやネイルの技術だけじゃなくて一般常識もあるらしい。

『東京行きたいから頑張ってるよー…って！だから太輔が話してよっ』

「何でだよー、俺だってAの声聞きたいけど？」



そう言うとAは黙っちゃう。



時計を見るとそろそろマネージャーが来る時間。



「そろそろ行かなきゃ」

『結局私あまり聞けてないっ！』

「後で沢山聞かせるから」



あと少しだけの我慢。

必死で→←考えてくれてるんだね

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