サイボーグな彼女

一心同体 7-8 ki ページ46

休憩で楽屋に戻ってタマと話してると、Aがやって来た。



「北山さん、お話し中すみません。今から休憩時間ですけど別室で打ち合わせしても大丈夫ですか？」

「へっ？」

打ち合わせって何？
でもAの目は真剣だった。

「…わかった」

手帳とスマホ持って立ち上がる。



「なにミツ説教？」

ニカが茶化すけど、

「うるせー、打ち合わせだ」

流しながらもあながち間違ってねーんじゃねーかと思ってる。

多分、体調悪くなってるのバレてるよな。



別室に入ると鍵を閉めるA。

「…北山さん、調子どうですか？」

「え」

「熱上がってるでしょ」

体温計を差し出された。



…やっぱり。

でもここで仕事休むと他の予定狂うし。

「…どうするっつーんだよ」

不貞腐れて俺が言うと、

「とりあえず、今日を乗り切ります」

Aが言う。
帰れって言われると思った俺は驚いて顔を上げた。




「雑炊と、りんご蜂蜜生姜ティーです。これで体を温めて下さい」

ボトルやらスプーンを出すA。




「マジか」

「え？」

「帰れって言うと思った」

他にうつすのもマズイし。

「そうしたいのは山々ですけど、今後の予定考えたら明日までに治すのがベストと考えました。けど…」

言いながらAはウエットティッシュを出す手も止める。



「…武田さんが疑ってます」

真剣な声で言うA。

「マジか」

武田ちゃんにバレたら厄介だ。
病院送りは勿論、説教もセットでついてくる。




「なので、部屋を別にしてもらいました。ここであまり話さないでギリギリまで休んで下さい」

「…なるほど」

「今日はあと撮影なので、あまり話さなくても済むはずです。明日は午後からだから少しゆっくり寝て体調を万全にしましょう」

言いながらAは水と昨日の処方箋も出してくる。
処方箋いつの間に持ってくれてたんだ？



そして、悲しそうな目をすると言う。

「ごめんなさい、私が今朝早く起こしたから早起きになっちゃいましたよね」

「いやいや、熱有る想定だったからそれは間違ってねーよ」

Aは何も悪くねーよ。
悪いのは熱出した俺だし。


雑炊を開けるといい香り。

「あ、野菜入ってる」

「朝と少しだけ具が変わってます」

雑炊2種類って！
それこそお前何時起きだったんだよ。

「…いろいろサンキュ、助かった」

俺が言うと、

「いえ」

頭を下げるA。



紅茶はすりおろしたりんごと生姜が入ってる。
甘いけどものすごく温かくなった。

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