サイボーグな彼女

一心同体 8 ページ45

準備を終えると、ちょうど休憩になった様子。

私は控え室に向かうと玉森さんと話をしてる北山さんに声を掛けた。



「北山さん、お話し中すみません。今から休憩時間ですけど別室で打ち合わせしても大丈夫ですか？」

「へっ？」

目をパチクリさせる北山さん。
私の顔を見ると、

「…わかった」

少し不思議そうに手帳とスマホを持って北山さんは立ち上がる。



「なにミツ説教？」

「うるせー、打ち合わせだ」

ニヤニヤしてる二階堂さんのツッコミを受け流して、ついてきてくれる北山さん。



用意してもらった別室に入ると、鍵を閉めた。



「…北山さん、調子どうですか？」

「え」

「熱上がってるでしょ」



体温計を差し出すと
受け取ろうとしないで、長椅子に座る北山さん。



「…どうするっつーんだよ」

私の方を見ないで言う。

「とりあえず、今日を乗り切ります」

私は言いながらカバンからボトルたちを取り出す。
北山さんが驚いて顔を上げた。




「雑炊と、りんご蜂蜜生姜ティーです。これで体を温めて下さい」

雑炊は保温カップに入ってる。
まだ温かいはず。



「マジか」

「え？」

「帰れって言うと思った」



北山さんは言いながら私を見上げる。



「そうしたいのは山々ですけど、今後の予定考えたら明日までに治すのがベストと考えました。けど…」

言いながらウエットティッシュを出して言葉に詰まると
どうかした？って顔をする北山さん。



「…武田さんが疑ってます」

「マジか」

北山さんが顔をしかめる。



やっぱり武田さんは怖いんだろうな。



「なので、部屋を別にしてもらいました。ここであまり話さないでギリギリまで休んで下さい」

「…なるほど」

「今日はあと撮影なので、あまり話さなくても済むはずです。明日は午後からだから少しゆっくり寝て体調を万全にしましょう」

水と昨日の処方箋も出す。



「ごめんなさい、私が今朝早く起こしたから早起きになっちゃいましたよね」

頭を下げる私に

「いやいや、熱有る想定だったからそれは間違ってねーよ」

言いながら北山さんは雑炊のボトルを開けた。



「あ、野菜入ってる」

「朝と少しだけ具が変わってます」



私が答えると北山さんはニコって笑う。



「いろいろサンキュ、助かった」

「いえ」

私はもう1回頭を下げた。



そこから北山さんは雑炊を完食して、りんご蜂蜜生姜ティーを「甘っ！」て言いながら飲むと、薬を飲んで30分くらい寝た。


…少しは休めたかな。

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