サイボーグな彼女

一心同体 1 ki ページ33

今日は、朝起きた時からなんか調子が悪い。

若干だけど寒気がする。



こんな時、Aが乗る前に車を暖めておいてくれるのはホントありがたい。



生の歌番組のリハは他のグループにも会えるからテンション高めだけど、楽屋に戻ると体調の悪さがぶり返す。



「ぶぇーっくしゅっ！！」

油断したらすげーデカいくしゃみ出た。
鼻のムズムズは解消されたけど、

「わ、みっちゃん汚ねっ」

隣にいた横尾さんからはクレーム。
そりゃそーだ。

「ごめん横尾さん」

すごい顔してて笑う。


「風邪？」

「や、鼻がムズムズしただけ。ホコリかなー」

「…そう？」

ホントに？って顔をしてる横尾さん。
…さすがキスマイの母、疑ってるな。

バレると面倒だから、出来るだけ誤魔化す。

咳も出来るだけ見えないように、痰が絡んだだけ的な咳払いをした。


正月まで休みねーし、プロとして体調管理もマストなわけで。



今日1日寝てなんとかなるかな。



リハーサル終わって車に乗ると、

「あの」

声を掛けてくるA。

「ん？」

いつもなら無言でありがたいんだけど。
今日に限って何だよ。



「…念の為、病院行っておきません？」

「え」

まさかの提案にびっくりする。



「あれだけ大きなくしゃみして、たまに咳してたらさすがに…」

「あー…」

バレてたんだ。ダサっ。
俺は恥ずかしくなってブランケットで顔を隠す。

「お願いしていい？」

「分かりました」

淡々と言って、

「動きます」

走り出す車。



あー、助かる。

病院までの運転もだりー、って思ってたし。
つか、最初から頼めば良かった。
Aなら連れてってくれそーだし。



次の信号に引っかかる前に寝てた。
だから、

「北山さん着きました」

ってAから声がかかった時は「え、もう？」って思った。

ゆっくり起き上がると、節々が少し痛いのを感じる。

やべぇ、これ熱あるな。



と、Aが振り返って自分が着てたショート丈のPコートを渡してくる。

「これ着て下さい」

「え」

これを？
Aがいつも着てるコートじゃん。



「結構、混んでるんです。メガネとマスクありますか？」

「…あるけど」

「で、これ着たら若干変わると思うんですけど。あと、これも」

と、見たことがない濃紺のストールも渡された。

完全レディースじゃん。
てか女子じゃん。


…まぁ、確かにバレないようにしなきゃだけどさ。


渋々コートを着ると、残念ながらちょうどいい。






…くそっ。

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