サイボーグな彼女

マネージャー開始 5 ki ページ25

「この辺、便利ですね」



Aさんが言う。

そか、引越して来たんだもんな。



「だいたい生活に必要なものはすぐ揃うからねー、遅くまでやってるし」

「あの高いスーパーびっくりしました」

「ね、高いよね。俺はほとんど行かないよ」

レモン1個500円とか意味わかんねーし。



それにしても
1ヵ月経って引っ越すことも言ってもらえない距離感って。

仕事仲間とも思って貰えてないのかな。



だから

「Aさんさー、俺のマネージャーやってみてどう？」

気になって聞いてみた。



「え？」

「マネージャーしてみて、俺の印象って変わった？」



少し考えるAさんは

「そんなに変わらないです」

淡々と言う。



「そんなに？」

「元々、キスマイっていい印象しかなくて。北山さんの担当が私でいいの？って思ったくらいです」

「そうなの？」

それ
盗み聞きした時も言ってたな。




そんなに変わってないってことは

「てゆーか、そんなにってことは、どっか変わったとこあるの？」

さらに突っ込んで聞いてみた。



少し考えてるAさんは

「んー、ものすごくパワフルだなって」

「パワフル？」

「誰かが移動車に乗ってる時は話してるけど、終わったらスイッチ切れたみたいに寝るところとか」

「あはは、寝すぎだもんね、俺」

「お話しするのも寝るのも全力なんだな、って思いました」

「寝るのが全力って！」

言い回しが斬新。




「でも、その移動時間をゆっくり出来るようにしないと、って思ってます」



そう思ってくれてたんだ。

だから加湿器とブランケットだったのかな。



てか、感想言ってないや！

「あ！あれ、嬉しかったよ」

「あれ？どれですか？」

Aさんはキョトンとしてる。

「加湿器とブランケット」

「あぁ」

「あれでものすごく寝心地良くなったよ」

俺が言っても無表情。



でも
ふと気付いた。


目だ。

目が少しだけ動いてる。



目の動きは小さいけど少ーしだけ目尻下がる。

わかりにくいっ！



少し観察しよ。

「今では何でも出てくるもんなー」

「笹野さんから戴いた資料が北山さんへの愛に満ち溢れてて、色々ケアしないとって思ったのはありますけど」

「へー、笹野さんから？」

「キスブサやバラエティの、北山さんのいい所だけ抜粋されてるのを戴いたんです」

「なにそれ！俺見てみたい！」



俺が言うとさらに目尻下がる。

そして少しだけ目の奥が柔らかい。



はー
これは顔をちゃんと見ないとだ。

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