サイボーグな彼女

一心同体 10 ページ49

北山さんが鍋焼きうどんを食べてる間、

「喉の調子どうですか？」

声を掛けると、首を傾げる北山さん。

「少し痛いかなー」

「甘くても良ければお昼の紅茶飲みますか？」

「あ！飲む！」

「わかりました」



電気ケトルにスイッチを入れて、持ってきたりんごと生姜をすりおろす。



「へー！そうやって作るんだ」

いつの間にか近くにいる北山さん。
私がびっくりしてると、

「あ、ごめん。水欲しくてこっち来ちゃった」

冷蔵庫から水を出しながら北山さんが言う。



「これ、飲むとあったかくなるんだけど」

すりおろしたりんごが入ったマグカップを覗き込んでる北山さん。

「甘いもの得意じゃないって聞いたから、はちみつ少なめにして生姜多めにしてます」

「へー、しかもデカい生姜だな」

隣で生姜を持ちながら言う。

「これあの高そうなスーパーで買いました」

「あそこで！？」

北山さんがびっくりしてる。



「高かっただろ」

「素材勝負で作りました」

「マジか」

驚いてる北山さん。



「これ飲んで薬飲んで、栄養ドリンク飲んだら最強だな」

「そうですね」

北山さんはミネラルウォーター持ちながらリビングに戻ると、ものすごくニコニコしてる。



「明日は普通に起きれますね」

「多分な」

私が言うと、北山さんはうどんをすすりながら答える。

それなら良かった。



りんご蜂蜜生姜ティーをテーブルに置く。
ちょうど鍋焼きうどんを食べ終わったところだった。

「さんきゅ」

「あとは大丈夫ですかね」

「…ん」

飲みながら返事する北山さん。



鍋焼きうどんを下げると、ざっと洗う。
食器を洗う洗剤すらまともにないとは。

そんな洗い物をする私を、北山さんはぼーっと見てる。



「…ねぇ」

北山さんが声を掛けてくる。

「はい」

「明日の朝なんですが、雑炊が食べたいんですけど…」

上目遣いで見てくる北山さん。

この生活感ゼロの冷蔵庫を見る限り、確かにこれは何も食べないだろう。
明日はギリギリまで寝てて欲しいから買い物に行かれても困る。

「わかりました」

私が言うと、子供みたいに北山さんが笑ってる。



明日使うものを冷蔵庫に入れる頃、北山さんも飲み終わった様子。

「じゃあ、明日下についたら連絡するんで開けて下さい」

言いながら鍵を返そうとしたら、

「…持っててよ」

「え？」

「ほら、何かと便利じゃん？」

…そうかな。

「わかりました」



そのままポケットにしまったら、北山さんは満足そうに笑う。

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