サイボーグな彼女

マネージャー開始 1 ki ページ17

気がつけば
あっという間に半月。



出会った時は可愛いらしかった彼女の服装は
マネージャーになってからジャケット羽織ればスーツに見えるようなキレイめに変わる。

靴のヒールも低いか無しかだった。

俺に気を遣ったか？と思ったけど
一度ヒールだった時に収録中ヒールを脱いで足を振ってるのを見て
あぁ、立ち仕事だからか、と思うことにした。




その日は喉が少し痛かった。

Aさんが迎えに来てくれた時に
軽く咳をしながら車に乗った。



「風邪ですか？」

最近朝は滅多に話し掛けてこないAさんが声をかけてくる。



「んー、酒飲んで寝たからイビキかいただけかもわかんないけど」



まだ寝起きだから
風邪かどうかなんて分からない。

風邪だとヤバイなー
明後日歌の仕事だし。



すると
信号待ちでAさんは振り返って

「これ、使って下さい」

タブレットののど飴とマスクをくれた。



マスク持ってるんだけどなー。

でも貰っとこ。



「…あんがと」

「のど飴はそのまま持ってて下さい」

「ん」



マスクから少し甘い匂い。
女の子だな。



雑誌の取材の空き時間で
スケジュール確認しようとしたらAさんが居なかった。



キョロキョロしてる俺を見て武田ちゃんが

「A探してる？買い物だって。スケジュール確認するなら預かってるよ」

声を掛けてくれてスケジュール渡された。



……どうしたんだろ。



取材終えて帰る時に車に乗り込んだ俺は

「うわぁ！」

朝と変わってる後部座席にびっくりする。



ドリンクホルダーに加湿器があって
ブランケットも置いてある。

さらに後ろにも
加湿器とブランケットが最大人数分積んである。



「え、どうしました？」



Aさんが振り返る。

どうしました？はこっちのセリフだっつの。



「何これ！行きと全然違うんだけど！」

「あぁ、そうですね」

まるで朝からこうだったかのように言うAさん。



「動きます」

「うん……」



確かにこれから寒くなるからありがたい。



別の日。

「あー、昨日の酒少し残ってるー」

朝、移動の車で俺が呟くと

「冷えピタと水とラムネありますよ」

「ラムネ？」

「二日酔いに、いいらしいです」

カバンから出してくれるて
確かにラムネを食べたらいつもより早く復活した。



スポドリや胃薬
何を言っても出てくる。

「まるでドラえもんのポケットみたいだな」

褒めたんだけど相変わらず彼女は笑わない。



まだ道のりは険しそうだ。

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