この想いの結末は (ページ17)

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…え？ページ17

Aside

「ホントに大丈夫？？」

「はい！私明日お休みですから！！親が気づいてくれたら迎えに来てくれるかもしれないし」

…ホントはそんなあてはない。

一度寝た親が起きる可能性なんて消費税より低い。
でもみんな明日仕事だし、この中で休みなの私だけだし。
タクシーで帰ったら8000円くらいしちゃう。
キスマイのCD買わないとだからこの出費はイタイ。
始発動くまで待つことにしよう。

「マジで何かあったら電話しなよ？」

「大丈夫ですってば。もう30過ぎなんですから笑」

残念ながらナンパとかされる対象も過ぎたし。

ーーーーーー

みんなを見送ると、ふーーっとため息ついた。

時計を見ると23時前。

始発まであと6時間くらいかー。

どうしてようかな。

ネイルのデザインでも考えようかな。

集中する為にイヤホンをしてキスマイかけながら
A4サイズのスケッチブックと色鉛筆を取り出した。

パラパラと過去のデザインをめくる。

これらと被らないネイルかー。

みつ担のあの人の為にネイル考えようかな。
「カ・ク・シ・ゴ・ト」がテーマのやつ作ってみよっかなー。
こっそり赤とピンクのストーンが入ってるやつにしてー。
「REAL ME」っぽく白と黒のマーブルにしてピンクと赤のストーン散りばめるのもありか。

ちょっと酔ってるからか、気負いしてないからか。
デザインがポンポン出てくる。

夢中になって描いてると、
色鉛筆が3本落ちた。

ヤバっ！！！

床をコロコロ転がって、隣のテーブルまでいく。

隣の人の足元まで転がって止まった色鉛筆。

隣のテーブルは話が盛り上がってるみたいで
全然気づいてない。

イヤホンを外して床にしゃがんで必死に手を伸ばす。

んーー、届かない。
手が攣るーーー。

一度席に戻って息を整えて。

もう一度手を伸ばす。

そしたら、鉛筆じゃなくて足に触ってしまった。

「うわっ！！！」

男の人の悲鳴。

「ごめんなさい！！！わざとじゃないんですっ！！鉛筆落としちゃって！！」

慌てて床下から謝る。

「…あー、これか」

「ホント、ごめんなさいー」

男の人が覗き込んで拾ってくれた。

「これで全部？？」

「はい！ありがとうございます！！」

机の下から顔を上げて拾ってくれた人に御礼を言って、
受け取ろうとしてお礼は顔を見て言おう思って、顔を見て。

悲鳴を上げそうになって、慌てて口を塞いだ。

…私が恋焦がれてる、

藤ヶ谷太輔が

目の前で私の色鉛筆を、握っていた。