帰れない? ページ14
「そういえば、彩さん遅くない?」
「あー、東京研修からそのまま来るって言ってましたけど」
…残念、話変わっちゃった。
誰が好きか聞けなかったなー…
付き合えたら繋がるもの全て捨てるってすげーな。
でも携帯ないと連絡取れないから、捨ててもらうとしたらデジカメとパソコン…
いや、捨てる必要ないでしょ。
少し笑ってしまいながらマネージャーたちを見ると
お酒も入ってるし更に盛り上がってる。
あぁ、この2人うまくいかないかなー
でも遠距離になるよな。
アコの静岡勤務まだ続くって言ってたし。
最低3年って言っててまだ2年目だもんなー。
そしたら俺の休みのタイミングでマネージャーを静岡に誘うかなー、
んで、アコとストロベリースペシャルの店で待ち合わせしたらストロベリースペシャル食べる回数も増えて…
「…太輔?」
アコに目の前で手を振られる。
「あ、ごめん、ボーっとしてた」
「マジか、疲れ出てきた???」
「いやいや全然。考え事」
「そ?ならいいけど」
アコがホッとしたのを見て安心させるためにも笑ったところで
隣のテーブルにびしょ濡れの女の人が現れた。
思わず俺だけじゃなくて、アコもマネージャーも思わず見てしまった。
「彩さん!!どーしたんですか!?」
「どーしたもこーしたもないよ!つーかこの中で電車誰だっけ?」
「え?わたし電車ですよ??」
例の芋ロックの彼女が手を挙げる。
「いまバケツひっくり返したみたいな雨でさー、雨量がナントカ値を超えたとかで。私が帰ってきた新幹線最後で。新幹線も東海道線も今日は停めるって」
「「「「は???」」」」
芋ロックの子だけでなく、俺らまでつい声を出してしまう。
隣のテーブルはそれに気付かず、Aどーする!?と盛り上がってる様子。
マネージャーは慌てて携帯を取り出す。
交通情報見て愕然とした顔で
「ホントだ…停まってる」
「まじか」
俺らの言葉にアコがハッとしたように
「あ!!!ヤバいよ、今日宿取れないかも!!明日駅の近くに新しい施設オープンするから、そのオープン対応でホテルほとんど満室かも!!!」
「は!?」
アコがちゃちゃっと携帯操作して見せてくれる。
「空いてるのが15万のスイートみたいだけど」
「えー…」
俺とマネージャーは顔を見合わせる。
「スイート泊まる??」
「冗談たろ?」
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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時