彼女とのご対面 ページ19
「本当のこと言えよ、事務所には言わないから」
マネージャーが言う。
「マネージャーが本当のこと言ってくれたら言う」
俺も答えると、マネージャーが「ん?」って顔する。
「なんで俺?」
「気になってるんじゃないの?アコのこと」
「………」
答えないマネージャー。
それって肯定じゃね?
それともまだグレーってこと?
でも言ってくれないなら俺も言わなーい。
まぁ何となくわかったし。
アコが本気出せば、マネージャーも時間の問題じゃないかな、なんて思いながらアコを迎える。
「おかえりー」
「ただいまーー」
マネージャーがまだ顔が固まったままだったので
空気に違和感を感じたのか
「…どうかした??」
と突っ込んできたのでマネージャーを見ると小さく首を振るので
しょーがない、助けるか。
「お前の昔の武勇伝を話して、マネージャーが引いてるとこ」
「え?何の話!?本人がいないところで話すのは良くないわよ!?」
アコがあせってる。
「え?どの話??学校の門からぶら下がった話したの!?」
「いやまだしてないけど」
「…学校の門からぶら下がったんです??」
自爆するアコに顔を合わせる俺とマネージャー。
一瞬の沈黙。
俺とマネージャーが爆笑する。
あーヤバいーーー!!と慌てるアコ。
んー、なんとか誤魔化せたな。
どうしようかなー、この流れはアコの校門ぶら下がり事件を話すべきかなー、
なんて思ってたら足に手が当たる感触。
「うわっ!!!」
思わず悲鳴を上げた。
「ごめんなさい!!!わざとじゃないんですっ!!鉛筆落としちゃって!!」
…なんか机の下から声がする。
あれ?芋ロックの彼女か。
足元を見ると3本見える。
「…あー、これか」
「ホント、ごめんなさいー」
これは君の場所からは届かないでしょー。
足で取るのも失礼だから机の下に入って拾う。
「これで全部??」
「はい!ありがとうございます!!」
机の下から顔を上げて、芋ロックの彼女を見る。
普通に可愛いし、芋ロックを何杯も飲んでる割に酔ってなさそう。
なんて思ってたら
彼女は悲鳴を上げそうになっていて、慌てて口を塞いでいた。
あ、そうか、俺らのファンだった。
誰かわからないけど。
…いずれにしろ騒がないでくれて助かった。
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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時