潜書壹・江戸川乱歩 ページ14
目の前をうろつき、絶えること無く話しかけてくる青年の姿に、江戸川乱歩は困った笑顔を浮かべていた。
『ねぇお兄さんってば!マジック見せてよ
あ、名前は?僕は江戸川乱歩!名探偵の名前だから覚えといてよね!』
「えぇ、それはもう三回聞きましたとも。」
『だってお兄さんが反応薄いから〜』
そう、江戸川乱歩は本に潜った時、奇跡的に意識を手放さなかったのだ。
しかし、霧が晴れても周りに仲間の姿は居らず、何処と知れぬ公園で一人で立っていたのだ。
ただ、仲間の代わりに居たのは、ハンチング帽に不揃いに切られた黒髪の小柄な青年。
青年は江戸川を見るなり駆け寄り、マジックを見せろだの名探偵だの喚いている?
これが自分をモデルとした人物かと思うと、江戸川はまぁ確かにと頷いた。
『お兄さん名前は?』
「えっと・・・名乗る程でもないので、お好きに呼んでください。」
江戸川は極力、混乱は避けたい。普段はご飯を青く染めたり、トリックを開発するなどで目立っているが、時と場所はちゃんと選ぶ。
『あっそ、じゃあ・・・無名でいっか。』
その安直さに江戸川はまた苦笑した。
「えぇ、では無名とお呼びください。」
『じゃあ無名さん、早くなんか見せてよ!』
江戸川は渋りながらも慣れた手付きで手品を披露する事にした。
ただただ、侵食者の気配に耳をすませながら。
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エリカ - すごく面白かったです!続きを待っています! (2018年3月17日 10時) (レス) id: e5d2f5896d (このIDを非表示/違反報告)
庵 - こういうの探してました!いやぁ、これは鼻血もんですね。更新期待してます。頑張って下さい!! (2018年3月10日 0時) (レス) id: 359f234116 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 文アルと文ストどちらも好きな私にとっては嬉しすぎて昇天しそうでした…← 出てくる文アルキャラが文ストキャラと同じ名前の人だけじゃなく色々な人が出てくるのですごく面白いです!更新楽しみにしてます( ´∀`) (2018年1月23日 19時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 面白かったです。すこし気になったのですが、登場人物が侵食者というのは、作者さんのオリジナルでしょうか? この前別の小説で見たことがありまして…。偶然ならいいのですけれど、少し気になりまして…。 (2018年1月20日 18時) (レス) id: 48db98a9a7 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - とても面白かったです!ボクは空白のSecretさんのほかの作品からここにきたのですが、どの作品も面白くてすごいです!応援しているので、頑張ってください! (2018年1月20日 13時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空白のSecret | 作成日時:2018年1月7日 22時