シャレ ページ32
「そんなことより日下部さん」
「は、はいィ…！！」
お妙さんのそんな声に、私は肩をビクゥッと跳ねさせる。情けない声を漏らしながらに彼女を見据えれば、彼女の表情から威圧は消えている。どうやら彼女がこれから切り出す話題は今話していた会話とはまったく関係のないものに切り替わるらしく、あの気まずい雰囲気が続かないことに私は少しだけ安心してしまう。局長が一体何処に飛ばされてしまったのか、それだけが気掛かりだけれど。そう遠くない所に居ればいいなと思う。
「チョコはお好きですか？」
「…チョコ、ですか？」
お妙さんはそう続けた。局長云々の話からチョコの話へと変わり、その唐突さに少しだけ目を丸くさせた。チョコ。なんだか昨日と今日とで、チョコという単語をたくさん聞いている気がする。まぁ、バレンタインなんていう季節だから無理もない。私はお妙さんの問い掛けに考えることなくすぐに頷いて見せた。「甘いものは、何だって好きです」と。だから、バレンタインでチョコをたくさん貰える人は少しだけ羨ましいと思うこともある。
するとお妙さんは「なら、」と言いながら、立ち上がって。
「チョコっと、待っていてくれますか？」
「あ、はい…あはは…」
…唐突なシャレに少し笑いながら、居間から出ていくお妙さんの背中を見送る。彼女はそんなシャレがお好きなのだろうか。随分と楽しそうに見えた。お茶をすすっていたりしながら少し待っていれば、お妙さんはすぐに戻ってきた。手に風呂敷に包まれた四角い何かを持って。
「もうすぐバレンタインじゃないですか。それで、仕事仲間にあげるチョコを準備したんですけど、作りすぎてしまって」
良かったら少し貰ってくれないかしら、と。彼女は言う。お妙さんが作ったチョコレート、美味しそうなイメージしか沸いてこない。見るからにお料理上手そうなお妙さんからのチョコだ。受け取らない訳がなかった。
「わぁ！いいんですか！ありがとうございます！」
風呂敷に包まれたそれを受け取りながら、私はそう口にした。中身が見えないのが少し残念だけれど、それを見るのは屯所に帰ってからのお楽しみにしようと思う。それに、局長が帰ってきていたら、これを分けてあげようと思う。彼女がこれを私にくれたのは、局長への情けなのかもしれない。
「喜んで貰えたようで良かったわ」
ふふ、と。お妙さんは可愛らしく、可憐に笑って見せた。
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雨散 - バレンタイン、妙ちゃんのチョコレートｗ (2019年8月5日 16時) (
レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» 続編でもコメントありがとうございました！！そうですね、ギャグに力を入れてます！笑ってくれたなら嬉しいです！続編もどうぞお楽しみくだされば幸いです！ (2018年3月12日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - バレンタインの話、面白いところがたくさんあって笑いが止まらないです！ 銀さん大変なことになってるし(笑)続きも楽しみにしてます！ (2018年3月10日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 情緒不安定ですね…(笑) お願いします…！！可哀想なマダオ(笑)にチョコを恵んであげてください！！ (2018年3月6日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 銀さん、情緒不安定なんだ...(さすがマダオとか思ってないからね！？)銀さんやればかっこいいしモテると思うけど素があれだからなぁ...義理チョコでもいいから、銀さんにあげたい... (2018年3月6日 20時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2018年2月11日 18時
