間違いない ページ30
…外では寒いから上がってくださいと言われ、私はお言葉に甘えてお家に上がらせてもらうことにした。玄関に入り、靴を脱いでから丁寧に並べ、案内されるままに廊下を進む。後ろ姿でさえなんだか凛としていて、見惚れてしまう。誰もが羨むような人だと、実は私は少し憧れていたりする。局長が惚れ込んでしまうのも分かるような気がした。けれど彼女は私や沖田隊長と同い年らしい。こんなにも大人っぽくてしっかりしているのに、大違いだといつも思うのだ。
通されたのは居間で、「お茶入れてきますね」と柔らかな声で言う彼女に「お構い無く」と返しながら、私は座布団には座らずに畳に腰かける。居間には机を囲むように座布団が何枚か敷かれていて、他にはタンスや家具が置かれている。生活感がない訳ではないけれど片付けられていて、いつも雑然としている空間で仕事をしている私はなんだかそわそわしてしまう。
「お茶持ってきましたよ」
「あ、ありがとうございます」
キョロキョロと忙しなく首を回して部屋を見渡していれば、おぼんに湯飲みを二つのせたお妙さんが居間に姿を見せた。机にコトリと上品な音を小さくたてながらに、彼女は湯飲みをそれぞれの場所に置いた。
「楽に座ってくれて良かったのに」
「いえ、私はお客ではありませんから」
優しげに微笑むお妙さんに私も笑って見せる。そう、今回はお客としてではなく、局長をお迎えするために私はここに来ているのだ。本当なら玄関先で用は済んでしまうのに、わざわざお家に上がらせて頂いているのは私なのだから、勝手に楽になんてしていられないだろう。私がそう言うと「相変わらずしっかり者ですね、日下部さんは」と彼女はクスクスと笑った。
座るように促され、私は座布団に腰を落とした。そうして「いただきます」と呟いてから、湯気のたつお茶に口をつける。暖かくて美味しい。冬の冷たい冷気を吸い込んでいた気管が暖まっていく気がする。お妙さんは私の向かいに座っていて、彼女もお茶をすすっていた。
彼女の湯飲みが机に置かれるのを待ってから、私は切り出す。
「それであの…すみません…うちの局長は…」
「あぁ、あのゴリラですか」
彼女の口からゴリラという単語が出ることに違和感しかないが、ゴリラと言われればそれは局長で間違いないはずだ。副長から、今日は彼女のお仕事がお休みらしいから局長は彼女の家に居るだろうというという情報を頂いていた。だからここに来たわけで。
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雨散 - バレンタイン、妙ちゃんのチョコレートw (2019年8月5日 16時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» 続編でもコメントありがとうございました!!そうですね、ギャグに力を入れてます!笑ってくれたなら嬉しいです!続編もどうぞお楽しみくだされば幸いです! (2018年3月12日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - バレンタインの話、面白いところがたくさんあって笑いが止まらないです! 銀さん大変なことになってるし(笑)続きも楽しみにしてます! (2018年3月10日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 情緒不安定ですね…(笑) お願いします…!!可哀想なマダオ(笑)にチョコを恵んであげてください!! (2018年3月6日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 銀さん、情緒不安定なんだ...(さすがマダオとか思ってないからね!?)銀さんやればかっこいいしモテると思うけど素があれだからなぁ...義理チョコでもいいから、銀さんにあげたい... (2018年3月6日 20時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年2月11日 18時