土下座 ページ26
*
「たいっへん申し訳ありませんでした!!」
私は畳に額をこすり付けるようにして綺麗な土下座をしていた。お手本のような土下座を目指した。もう二度とこの頭を上げられないくらいには、私はとんでもないことをやらかした。そのことを自覚している。一生このままで居続けろと言われればそうするだろう。申し訳なさすぎてもう畳から額を離せなくなりそうだった。それなのに私の前に、座布団の上に腰を下ろしている副長は「いいから顔上げろ」と言ってくれる。もう涙が出そうだった。
「もう…本当に……本当にごめんなさい!!」
「いや、事情は分かったから」
「もう切腹しますじゃないと気がすみません!!」
「落ち着け落ち着け落ち着け!!!」
私はすぐ横におかれていた刀を手に取り、数センチほど鞘から引き抜いていれば副長は大慌てといった様子で私のその手を止め、無理矢理に銀色の刀を鞘の中に押し戻した。副長は一旦私から刀を取り上げ、自身の横に置いた。彼の背後では、気絶した沖田隊長が寝かせられている。座布団を折り曲げた状態にしたものを頭の下に敷き、白目を向いている。
…先程、私は沖田隊長に一本背負いをくらわせた。副長はそれに巻き込まれたのだ。廊下へと投げられた沖田隊長の下敷きに、彼はなってしまった。が、あの時の私は沖田隊長との恥ずかしすぎる場面を見られることを何とか避けるべく必死だったのだ。沖田隊長が頑としてでも離れてくれないから、もう自棄になってしまっていた。けれど、冷静になって考えれば、もっと何か方法はあったはずだった。そんなことが、副長に二次被害を及ばせる理由にはならない。
幸い、副長は無事に意識があったけれど、大丈夫だと言ってくれるけれど、私は申し訳なさでいっぱいだった。
「…話を聞く限り、全体的にコイツが悪い」
と、副長は背後にいる沖田隊長に視線をやる。眉を寄せ、額には青筋を浮かべている。白目を向いて気を失っている彼に、副長は「ざまぁ見やがれ」と呟いている。
「…申し訳ないです、本当に」
「それはもういい。気にすんな」
副長は優しい。もう涙腺が崩壊しそうだった。けれど、泣いて更に迷惑をかけるわけにはいかないので、グッとそれを堪えて、私は小さく頷いた。
「…ところで、副長、」
「ん?」
泣き出さない私に少し安堵したような彼は、意図的にきっと優しげな声を出して、私に耳を傾けてくれる。
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雨散 - バレンタイン、妙ちゃんのチョコレートw (2019年8月5日 16時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 白桃餅子さん» 続編でもコメントありがとうございました!!そうですね、ギャグに力を入れてます!笑ってくれたなら嬉しいです!続編もどうぞお楽しみくだされば幸いです! (2018年3月12日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - バレンタインの話、面白いところがたくさんあって笑いが止まらないです! 銀さん大変なことになってるし(笑)続きも楽しみにしてます! (2018年3月10日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 情緒不安定ですね…(笑) お願いします…!!可哀想なマダオ(笑)にチョコを恵んであげてください!! (2018年3月6日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 銀さん、情緒不安定なんだ...(さすがマダオとか思ってないからね!?)銀さんやればかっこいいしモテると思うけど素があれだからなぁ...義理チョコでもいいから、銀さんにあげたい... (2018年3月6日 20時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年2月11日 18時