【ヒプマイ】中王区の天然党員【中王区】【女主】

16.悪くはない ページ17

「……に、似合いますか…？」

無花果「あぁ。今は口紅だけで浮いて見えるが…

その色が一番似合うぞ。」


お試しで口紅をつけて見た。

ピンクよりの赤の口紅


鏡に映る私は、何だか別人のようだ。

けれど、悪い気はしない。

「……これにします。」

無花果「わかった。

会計を頼む。」

店員に声をかけると「はい」と言って口紅を持ってレジに向かった。

「では少々お待ち下さい。会計を済ませて…」

無花果「？？何を言っているんだ？Aはそこで待っていろ。」

「え？

い、いえ…ですが…。」


ﾎﾟﾝｯ

無花果「これは私からの褒美だと思ってくれ。

普段からお前の頑張りは見ているつもりだ。」

頭に手を置かれ、よしよしと撫でられた。

がんばり、か…私は無花果様に救われた恩を必死に返そうとしているだけなんだが…。

…あぁ、あの時も撫でられたな…。

よく覚えている、ヨコハマの港だ。


しばらくすると、購入した口紅の入っている紙袋を持って無花果様が戻ってきた。

無花果「ん、落としたのか。」

「え…？あ、はい。

口紅だけでは浮いてますので…後日また付けたいと思います。」

無花果「そうか。

ふっ、Aが楽しそうで何よりだ。」

「…光栄です。」


無花果様は、私にとって理想の人物。

だから私は無花果様の力になれるよう、中王区の成長と発展に貢献する。

それだけだ。



今日は普通に楽しかった。

このまま、清々しい気持ちで今日を終われるかと思っていた。



あのお方が、この事を知るまでは。

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