ホワイトデーver.大矢野 ページ7
今年、僕は初めてバレンタインにチョコを貰ってしまった。
そして、単純にもその子に恋してしまった。
そして初めてホワイトデーのお返しというものを買った。
そして今日、ついにホワイトデー。
あの日から何度かあの子とは会っていた。
と言っても、収録を観に来ていた彼女と帰り際に挨拶を交わすぐらいだったけど。
でも昨日は違う。
挨拶を交わした後、僕は彼女を呼び止めた。
“明日、少し時間いただけますか?”
そう言った僕に彼女はあの日と同じ笑顔で
“はい”
と言ってくれた。
あの子、喜んでくれるかな。
また、あの笑顔を見せてくれるかな。
一生懸命選んだお返しを握りしめた…
「えぇ�・超キモいんですけどぉ�・」
「だよね、マジないよね。本命じゃない人からのマジなお返しなんてねぇ�・」
えっ…?
これは神様、いやイエス様のいたずらでしょうか。なんだ、なんなんだ今の女子高生は…
どう、しよう…僕はどうしたら…
「大矢野さん!」
心がグラッグラの最悪の状態で彼女がやってきてしまった。
「今日はどうされたんですか?」
「えっと、あの…」
どうしよう…
「あの、これ…」
「はい?」
何やってるんだ自分!
プラン0のまま、お返しを差し出してしまった!
「これ、もしかして」
「えっと………四郎からです」
「え」
動きが止まった。
僕も、彼女も。
いいや、もう。
「僕、バレンタインにチョコ貰ったの初めてだたんです。だから…」
“すごく嬉しかった”
伝えたい言葉は一つなのに、その言葉が言えない。
「ホワイトデーなんて知らなかったんです。アハハ、すみません…。せっかく僕なんかにくれたのに。それに引き換え、四郎は凄いで「来年!」
彼女が叫んだ。
「えっと…来年?」
「来年も、来年も渡します!だから来年はホワイトデーいただけませんか?四郎さんのじゃなくて、大矢野さんの。」
「僕ので、いいんですか?四郎のじゃなくて?」
「大矢野さんのがいいんです!」
「…」
「あ、すみません勝手なこと言って。あの、来年も私のチョコ受け取っていただけますか?」
「あなたの、えっと…」
「Aです。Aって言います。」
「…Aさんのが欲しいです。」
「ありがとうございます!」
そう言って彼女、Aさんはあの笑顔を見せてくれた。
“ありがとう”なんて、僕が伝えなきゃいけないのに。
「来年は、来年は期待しててください!」
「…?はいっ」
来年こそは伝えます!
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桃子(プロフ) - コメント失礼します。主様の作品が大好きで、特にホワイトデー ver.大矢野が好きすぎて、度々読みに来ています。大好きです!!!応援してます!!^_^♡ (1月12日 14時) (レス) id: 4c9d96d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
蜩かぼす(プロフ) - 誤解されるといけないので一応付け加えさせて頂きます。鍋ちゃんTV全作品読ませて頂きました(*´˘`*)戦国鍋の信蘭はアツアツですよね!ちょっとおバカな信長さんと利発な蘭丸の出会いのお話もほんわかして好きです(*^^) (2018年5月21日 15時) (レス) id: 8c255ff31b (このIDを非表示/違反報告)
蜩かぼす(プロフ) - 初めまして。君だけがおらん、僕だけがおらんの2作品とても切なくて泣いてしまいました。また世界史ちゃんの信蘭のお話を是非読みたいのですが、3年も前なのでもう新作は書かれないのでしょうか?できればまた2人のラブラブなお話や切ないお話を読みたいです!! (2018年5月21日 15時) (レス) id: 8c255ff31b (このIDを非表示/違反報告)
RNん(プロフ) - 未確認生物AB型さん» ありがとうございます!戦国鍋も戦国鍋ファンも尊し! (2015年8月17日 11時) (レス) id: 9424724d5e (このIDを非表示/違反報告)
未確認生物AB型(プロフ) - 私も戦国鍋TV好きです!とっても面白いですね! (2015年7月22日 0時) (レス) id: 8e9413098d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RNN | 作成日時:2015年3月8日 2時