彼は只者じゃない壱 [ハイキュー][文スト]

綺麗 ページ22

及川side









ずっと何かが引っかかってる感覚がする。









このセット、1度も伊世崎ちゃんはスパイクをしていない。









全く点をきめてない訳では無い。でもフェイントだったりブロックアウトばかりだ。









………偶然か？それとも……わざと？









「及川さん。再開しますよ。」









赤葦君の言葉で意識が戻る。どうやら結構考え込んでたらしい。









「……次のサ一ブ、Aさんなんで気をつけた方が良いですよ。」









「え？」









今まで普通のサ一ブしてたのに……急に気をつけろだなんて、どうしたんだ？









『木葉く一ん。身構えてなよ一。』









「ゲッ、まじかよ。」









敵にあんな事言うなんて随分と余裕だな……。









伊世崎ちゃんがサ一ブをする構えをする。









「………！！」









……成程。赤葦君の言ってた事が分かった。今までは“入れるサ一ブ”だった。なのに今は＿＿＿。









「ジャンプサ一ブ……！！」









しかもめちゃくちゃ強烈！！









「ぅぐ！」









宣言通り、伊世崎ちゃんは木葉君目掛けてサ一ブした。普段練習してる相手でさえ取るのに精一杯って、どんだけ威力あるんだ……！！









「金田一！」









「はい！」









金田一にトス上げる。









「絶対決めさせねー！」









「！！」









向こうのチ一ムのブロッカー、リエ一フ君と尾長君が立ちはだかり、ボ一ルはリエ一フ君の手に触れて飛んで行った。









「ワンチ！」









「ライト！」









「レフト！」









誰だ。岩ちゃんか澤村君どっちを使う？









……いや、違う。









「伊世崎さん！」









伊世崎ちゃんのバックアタック……！！









「………あ、」









ボ一ルを目で追ってたのに。いつの間にかボ一ルは地面に着いていた。……いや、スパイクが綺麗すぎて(･･････････)見蕩れていて、身動き出来なかったんだ。









試合終了の笛の音が鳴る。









相手チ一ムが円陣を組み、喜んでいる姿が目に映る。









「……とんでもない人が東京にいたもんだ。」









君の事をもっと詳しく知りたくなったよ、伊世崎ちゃん。

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