朝日が上がるその前に (ページ3)

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ミニトマトにハンバーグ。
チトセ王子の好きなおかずをお弁当箱につめる。
今日で私がお弁当を作るのは最後だ。
私は、ある理由でこの職を辞するのだ。

「おやカレン」

今まで静かだった厨房に優しいおじさんの声が響く。

「あ！ベートリーさん！」

私がベートリーさんと呼んだのは見た目からして優しいおじさんの大きなおじさん。
優しい瞳に白いヒゲ。
私を小さい時から本当の娘のように可愛がってくれた。

「もう明日か…。カレンが去ってしまうのも」

「ベートリーさん！そんな悲しそうな顔しないで！！大丈夫！手紙を書くわ！」

私には、彼くらいしかいないのだ。
守るべき人が。
私を支えてくれる人が。

「ねぇ、ベートリーさん。おまじない、やって？」

ベートリーさんは寂しそうな顔をしながら、そっと私の手を握った。

「カレンは朝日の子。皆に希望を与えられる」

「ありがとう」

おじさんは私の手を離し、私の瞳をみた。

「カレンの金色の瞳は忘れないよ。私の宝石だよ。いつまでも、いつまでも」

「ありがとう。ベートリーさん」

私はそっと微笑んだ。