朝日が上がるその前に (ページ2)

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朝日が上がるその前に私は逃げないと。

焦げた鉄の臭い。

耳にこびりつく誰かの悲鳴。

手についた真っ赤な血。

ああ、逃げないと。

私も…殺られてしまう…。

「はっ！」

チューチューと鳥の鳴く声が聞こえる。
窓の外はまだ夜。
私はベットから身を起こした。

「今日も頑張るね」

枕元の写真に向かってそう呟く。
写真の中には優しく微笑む両親と兄の姿。

オレンジ色の髪の毛を１つに結わく。
紺色のお着せに身を包み、そっと部屋を出た。

私の名はカレン。
今は５つの大陸の中の青の国の王宮に仕えている。
青の国は時を司る国。
そのため、王子は本来なら１２人。
しかし今は１３人いるのだ。

その、１３人目の王子の名は、チトセ。

私はそのチトセ王子の世話役だ。
世話役と言っても、私の歳は１５だし。
たいして変わらないのだ。

私が、この城にいるのも、１つ、理由がある。

ま、それは後々わかるとして。

私は厨房に行き、最後のお弁当を作り始めた。