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どきり
と胸が。
キュン
と胸が。
ひとまず、心臓が痛いほどに締め付けられる。
「え、いつ来てたの？」
そうやって、ゆっくりこちらにやってきた。
「差し入れ、なに持ってきてくれたの？」
俺より少しだけ高い目線を
そっと同じ高さまで下げて、もっと近寄ってきた。
…うっすら汗ばんでいて、超色っぽい。
松本のにおいがして、
ほんともう動悸だけでどうにかなりそう。
「あ、おにぎりにした。お疲れ。…いいねぇ、かっこいいじゃん」
余裕ぶって答える。
「俺はもう体きついけど、松本はほんとスゴいよ。アクションの型も二三回で覚えちゃうし」
先輩俳優さんから声がかかる。
「いやいやいや、そんなことはないっ！
…さぁ！巻いて帰ろう！」
場の雰囲気も盛り上げながら、
こちらに向き直る。
「買い物楽しかった？」
「え？あ、うん。」
「おれこの後ちょっと次まで時間あるから。…おにぎりもって、俺の楽屋いこっか」
「お宅拝見、しちゃおうかな」
「翔くんも、また今度共演しようなー！」
気さくに話しかけてくれる先輩。ありがたい。
「はーいっ」
普通に普通に。
そう思って行動するけど、
いつもと違う面みれて、なんか…
「どうしたの、なんか緊張してない？」
「…なんでだろ。してる。緊張。」
スーツ松本の後ろをてくてくあるいて、彼の楽屋へ。
「どーぞ」
そういって、招き入れてくれた。
「お邪魔しまーす…」
中に入るや否や。
いきなり、松本のにおいに包まれた。
…気がついたら、後ろから抱き締められている。
「会いたかった…」
苦しいくらいに腕に力をこめて、
肩のあたりに顎をのせてくる。
「…うん」
素直に、するっと言葉がでた。
「ねぇ、翔くん」
なに？
と、振り向き様に、キスをされた。
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作者名：果穂 | 作成日時：2018年3月18日 17時
