はがゆい… ページ9
S side
一度は失敗した。
相手の言葉が嬉しかったのに、自分達のこれからの人生とか考えすぎて、
説教みたいになってしまった。
結果、好きだと言ってくれたのに、
「ごめんなさい」といってしまった風になり。
…気不味い、とても気不味い数年間が続いた…。
それでお互い思いきれれば良かったんだけど、
なんだあれ。
野性味てきな感じにはなるわ、
よくわからん色気は出るわ。
女か？
女の影響か？
色々変化半端無くて、
まあ、正直、目を離せなかった。
それに、視線感じてたし。
昔と同じ熱量の視線。
見ると逸らされるんだけど。
今考えれば、あれはお互いの駆け引きだったなと思う。
根っこは素直な末っ子のことが、結局こちらとしても、
…好きなんだよ。
そう。
そうなんだよ。
だから、この気不味い関係を終わらせるために、
前に進むために、
勇気を出して今飛び立とうと！
言ったんだよこちらから！
…なのになんなんだ。
これまで一月とかどころか年単位で二人で会ってなかったのに、
２週間でこれ。
こんだけしょげられるってなんですか。
てか、
あんだけ男らしくなってて、この繊細さは何？
仕事中はなかなかさすがにこんな話もできないから、
終わってからお互い次の現場まで時間があった、ちょっと「先輩」な相葉くんつかまえて、
話を聞いてもらった。
「うん、翔ちゃんの言い分もなんとなくは解るよ。でもね、
謝った方がいいよ？」
え？
「だってさー、せっかく、せっかくだよ？ずっと好きだった人とそんなことになった！ってうかれてるのにさ、誘っても誘っても断られてるんだよ？もう、俺だったらにのんち押しかけてるね！」
それが普通の感想なわけ？
「ただでさえあなたたち予定あるタイプの二人なんだから。すぐそこにいるのに遠恋ぽいことして、なんなの、マゾなの？ってなるよー」
いやそんな、笑顔でどぎついこといってくるなー。
「それにほら、なんかいってたじゃん。」
「え？何を？」
ようやく声が出た。
まさかの相葉さんから、俺の恋愛観こてんぱんにされると思ってなくて、喉から声が出るってことを忘れかけていた。
「え？松潤もうすぐドラマはじまるって言ってなかったっけ」
「え、マジか」
「マジマジ」
…これはやばい。
俺の、ジムとかそういう予定とは比べ物にならないほどやばい。
三ヶ月とか、普通に予定がきつくなる…
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作者名：果穂 | 作成日時：2018年3月18日 17時
