伍代君とアオハル【3】

9-2 ページ26

…


剛の部屋にて


進路志望調査の紙を机に置き


腕を組みながら悩む剛


ベッドに座る吟子、A、松


「どうすっかなぁ…」


「兄ちゃんが進学とか考えてるなら
このまま二重生活続けてくのは無理だと思う
バレてさ 皆に嫌な思いさせるよりは自分から言った方がいいんじゃないかな」


『正直今日も危なかったし
吟ちゃんの言う通り…もう言うしかないよ』


吟子とAが剛に言う


「やっぱりオメェらもそう思うか」


『うん…』


「怖いけどね…」


「クゥーン…(アニキ、心配だよ 俺)」


「フゥー…」


悩む剛


…


いつものラーメン屋で話す大丸、伍代、剛、A


「俺はな 医者になる」


大丸が言うと笑い出す客達


「なんで?」


辺りを見回しながら呟く大丸


「伍代は?」


剛が伍代に聞く


「流すなよ」


「うーん 旅かな」


「えっ? それ進路じゃなくね?」


「アフリカとか南米のジャングルとかよ
まるっきり日本と違うとこって面白そうじゃねーか」


「あー なんかカッケーな Aは?」


今度はAに聞く剛


どうやら高校卒業後の進路の話をしているらしい


『東大に行く』


拍手する客達


「だからなんで?」


また辺りを見回す大丸


「マジかよ ネタだろそれ」


信じていない様子の剛


「えっ…着いてきてくんねーのか…」


寂しそうな伍代


『ジャングルはちょっと…』


「分かった アメリカとかヨーロッパ系にすっから」


「必死かよ」


剛がツッコむ


「難破、難しく考えんなよ
オメェの人生なんだから好きなことやりゃいいんだよ」


『いくら家族でも剛の人生まで決める権利は無い筈だもんね』


伍代とAを見る剛


…


剛は部屋で進路希望を書く


どうやら美大に行くと決めたようだ


『剛、応援してるからね』


「おう」


ガチャ


猛が部屋に入ってくる


「おい」


剛は急いで紙を隠す


「ん?」


『だからノックぐらいしなよ』


「飯できたぞ」


「おう」


『はーい』


…


晩飯中に進路の話をしようとする剛


だが新しい特服が欲しいだの


彼女が出来たのかと誤解され結局話せなかったみたいだ


…


またラーメン屋で話すいつメン


「まだ言えてない?
明日もう終業式だぜ?」


大丸が剛に言う


「わぁってるよ」


「あのなぁ 美大行くって決めたならバレるのは確実
だったら早くバラしちまえよ
いつまで家族騙すつもりだバカ
自分の気持ち正直に言えば分かってくれるよ!」


伍代が言う

9-3→←【9話】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す