ベランダとタバコ（紫） (ページ31)

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あの日を境にふっかとの距離がグッと縮まった気がする

夜は何も言わなくてもいつも決まった時間にベランダに出ればふっかもベランダに出てきてタバコを一緒に吸うようになった。

ライター貸してくんね、って言われてライターを貸すこともあるし、お疲れーってお互いお酒を交換し合うこともある。

でも会うのはお互いの部屋ではなくて絶対にベランダだった。

なんか、丁度いい距離感というか。

あの日急にハグされて、タバコを吸いにベランダに出る時に手を繋がれて。

その時に、『ふっかのことが好き』って気づいてしまったのかもしれない

直接会ってしまうとこの気持ちが増してしまう気がして、ベランダで壁越しに会話するのが精一杯な私は何回かふっかに宅飲みに誘われたけど全部断ってきた。

今日もいつもみたいに、仕事から帰ってきて部屋着に着替えるとベランダに出る

微かに匂うタバコの匂いでふっかが既にタバコを吸っていることを確信した。

「あ、やっと来た～お疲れさま。

ごめんね、お先に1本吸っちゃったわ」

『んーん、全然今日は仕事早く終わったの？』

「夕方には家にいたかな、まあさっきまで寝てたんだけどね

そろそろAちゃん帰ってくる頃かなーと思って起きたわ～」

『えー、寝ててよかったのに！なんかごめんね』

「なあんでそんな事言うの、俺の楽しみなのよ？

夜ベランダでAちゃんとタバコ吸うの」

『へ、そうなの？それは嬉しい』

「Aちゃんは？俺とこーやってタバコ吸ってんの、楽しい？」

『うん、楽しいよ？』

「えー、うっそだー」とふざけた声で言う

『なに？笑ほんとだってば、

嫌なら毎日ベランダ出てこないって』

「んー、それもそうかあ」と隣から煙が流れてきた

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