【碧】Yuto.N (ページ28)

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あの後、何度かメッセージを送ったけど
返事も無ければ既読すらつかない。

そんな状態でもう1ヶ月も経った。

ブロックされているのか、忙しいのか、
またもやわざとなのか …

そんな考えまで過ってしまうけど

「チッ …… 」

それでも定期的に反応が無いか確認しては
携帯片手に舌打ちをする始末。

大学の帰り、見ていた携帯をポケットに入れると
ふと喉が渇いて自動販売機で飲み物を買おうと思った

「 100円玉無いし … 」

財布を見ると自動販売機では使えない硬貨ばかりが
入っていた。

生憎千円札も持っていなかった為、この前
Aが置いて行った1万円札を財布から出し
自動販売機に入れると隣から伸びてきた手によって
ガコンと飲み物が出てきた音がした。

「は、？」

優斗「あれ？これじゃなかった？」

振り返れば当たり前のように飲み物を取り出して
きょとんとした顔をしてるあの人がいた。

先程、勝手に押されたいちごみるく120円のボタンが
赤く点滅している。

優斗「好きなんじゃないの？違った？」

手に持ったパックのいちごみるくの事だとは
わかるけれどAの顔が浮かんだ俺は

「 … 気分じゃないので」

質問には答えずにカフェラテのボタンを押した。

優斗「そっか」

関わりたくないんだ、この人には。

急いでこの場を離れようとこの人に背を向けたけど

優斗「俺、Aと結婚するんだ」

後ろから発せられた声によって動けなくなった。

優斗「籍はまだ入れてない」

「 …… 」

優斗「先に家族だけで式を挙げるんだ」

「 …… 」

優斗「だけど那須くんはAの " 弟 " だから」

弟、

その単語を強調させるように言ったのに
反応して後ろを振り向くと楽しそうに微笑んでいた。

優斗「式に来て欲しいんだけどいいよね？」

「 …… 」

優斗「あれ？祝ってくれないの？」

試すような目。

これはどっちにしろ …

「 …… おめでとうございます」

優斗「ありがとう」

俺の負けということだ。

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