8.名前 ページ8
追加でアドバイスだろうか、と思い
静かに耳を傾ける。
「名前で呼んでくれね?」
「…へっ?」
ちょっと驚きすぎた。
「いや、なんつーか、
皆から名前で呼ばれてるからさ。
苗字だと慣れなくて。」
「確かにみんな名前で呼んでるよね…。」
最近話したばかりなのに、
急に名前で呼ぶのはな〜、とか考えてたんだよね。
「じゃあ、玲王って呼んでいい?」
「おう!俺もAって呼ぶわ。」
「わ、なんだか仲良しみたいな感じがする…。
男子に名前で呼ばれるの、あんまりなかったんだよね。」
「凪からも名前で呼ばれてるだろ〜?
実は俺も、アイツだけズルいなって思ってたんだよな。」
あの人は誰にでも名前呼びな気がするけどね。
「やべ、そろそろ時間だわ。
このボール、ついでにもらってくな!」
彼は私が使っていたボールを持ち上げる。
「んじゃ、お疲れ!
気をつけて帰れよ〜!」
「うん、今日はありがとね!」
後ろ姿の玲王を見送って、
私も帰る支度をした。
昨日お世話になったってこともあって、
玲王にはちょっとしたお礼を渡すことにした。
玲王はめっちゃお金持ちらしいし、
庶民の菓子だなんてあんまり喜ばないかもだけど…。
「…あ。」
教室に入れば、
また昨日の状態。
彼の席は生徒で囲まれ、
私の席は使われている。
これはしばらく、
夏ちゃんにお世話になるしかないですな…。
「A!おはよ!」
「!?」
気がついてないと思っていたばかりに、
咄嗟に挨拶を返せなかった。
え、すごいな玲王。
私後ろから気配消して入ったのに…。
ちょっとだけ
胸の奥がキュッとなったのを感じた。
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照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!今後とも宜しくお願いします〜! (1月18日 7時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
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