40.呼び方 ページ40
目に涙を浮かべているAの話を
特に何も言わず、黙って聞いていた。
あっという間に時間は過ぎていった。
「落ち着いた?」
「…うん、大分。」
自分で言うのもあれだけど、
やっぱ幼馴染みパワーって凄いな。
「私のことで巻き込んでごめん。」
「そんなの今に始まったことじゃないだろ?」
「まぁそうだけど。」
落ち着いてくれたなら良いんだよ、と
優しくAの頭を撫でる。
「千切がいてくれて良かった。」
「…。」
「千切…?」
いや、結構前から言おうと思ってはいたんだ。
「なぁ、
名前で呼べよ。」
幼馴染みだろ、俺達。
元々は名前で呼んでたじゃん、お前。
「…え?このタイミングで!?」
いつまでもそんな男のこと
考えさせてたまるか。
「つーか、『千切』って呼ぶようになったの、
中学上がってからじゃん。
なんで変えたんだよ。」
俺はずっとAって呼んでるのに。
「ん〜。でも同じ学校でもなくなったしね…。」
「…は?」
理由がよく分かんねえ。
「ほら、覚えてる?中1の時さ。
友達の前で、名前で呼び合ってたら、
『Aちゃんと千切くん、付き合ってるの!?』
って言われたの。」
「あ〜。」
確かにあったわそんなこと。
そん時は『幼馴染みだから』っつって、
Aが誤解を解いたんだっけ。
別に俺からしたら、
勘違いされたって良かったんだけど。
「それからだね、
千切って呼ぶようになったの。」
「ふーん…ていうか、
いきなり『千切』って呼び方変えられた俺の気持ちも考えろよ。」
「…それは…うん、ごめん。」
まぁ、距離が遠くなったわけではないし。
「これからは名前でよべ。
俺の母さんだって姉ちゃんだって『千切』だぞ。」
「確かに…。」
相変わらず馬鹿だな。
「…ひょーま。」
「…!?」
「ふふっ、呼んだだけ〜♪」
この野郎。
俺の気も知らないで…。
「…反則だろ。」
熱くなった頬を隠したくて、
クシャッと彼女の頭を撫で顔をそらした。
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照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!今後とも宜しくお願いします〜! (1月18日 7時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
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