36.気遣い ページ36
家について、
車から松葉杖で降りる。
「床とか滑りやすいだろうし、
俺が運ぶ。」
「え？いや、大丈夫だって。」
「また怪我されたら、
それこそ来週どこにもいけなくなるだろ。」
その言葉が胸に刺さり、
渋々おぶってもらうことにした。
自室に千切と２人きり。
別に緊張とかそういうのはないけど、
特に話す話題もなく。
「ごめんね、本当は私がもてなす側なんだけど…。」
なんとなくそんなことを言ってみる。
「ホントだよ、
やっとお前の家ついたと思ったら、
母さんが『Aちゃんが足を怪我した！』なんて騒ぐし。」
それはマジで申し訳ない。
「…でも、久しぶりにお前の顔が見れたのは嬉しかったし。
タイミングはあれだったけど、
会えて良かったとは思ってる。」
そんなことを優しい顔で言う。
これが千切じゃなかったら
確実に惚れてたな、
なんて思う。
「私も、千切に会いたかったよ。
話したいこと沢山あるもん。」
こっちに来て、
沢山友達ができて、
良い人たちに恵まれて、
心から好きな人ができたんだ。
「おう、
聞く準備はできてるよ。」
「ありがと。
あ、でも、千切のことも聞かせてよね？
私ばっかりはヤだ。」
「はいはい。」
苦笑いしながらてきとうに流される。
そういうとこだぞ千切。
すると、
私のスマホが震えだした。
あ…
「忘れてた…。」
「どうしたんだ？」
「あ、ちょっと電話してくるね。」
立ち上がろうとすると、
再びストンと座らされる。
「馬鹿、足使うなって言ったろ。
俺が出るから、終わったらまた呼べよ。」
「あ、ありがと。」
千切の気遣いが上手いところは
昔からそのまんまだな…
彼が部屋から出ていったのを確認して、
通話ボタンを押す。
「もしもし、玲王？」
『お、A。
病院終わったか？』
「さっき終わったよ。
ごめんね、連絡するの忘れてた。」
だと思ったよ、なんて
彼が少し苦笑してるのがわかる。
「捻挫らしいけど、
１週間くらいで治るらしい。
明日は松葉杖で来るよ。」
『そっか、思ったよか軽くて安心した。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！今後とも宜しくお願いします〜！ (1月18日 7時) (
レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
