雲取山 ページ20
ある日、Aの元へ鴉からの連絡が途切れた。
鴉といっても、浅葱ではない。
柱頭の特権で鴉を二羽使役出来るのだが、そのもう一羽「春風」の方だ。
この鴉、やけに情に弱かった。
Aの過去を知るや否や、次の日から毎日、彼女の故郷 雲取山へ行き、実の家族を見つけると逐一彼らが何をしていたのか報告をする。
Aが何度やめろと言ったとしても、嫌だの一点張り。
とうとうAが折れると、待ってましたと言わんばかりに、どうでもいい事まで報告する始末。
Aが報告を聞いて、笑顔が溢れたことは、下に弟三人、妹一人が産まれたこと。
焦った様子を見せたのは、炭治郎が額に火傷を負ったと聞いた時。
「親不孝者でごめんなさい」と言い、小銭入れを握りしめながら、大泣きしたのは彼女の父 炭十郎が病で死んだ時。
全て、実際に目で見る事は叶わなかったが、春風から家族の何気ない日常を耳にし、それを想像出来ることは、いつの間にかAの楽しみになっていた。
しかし、昨日 春風が帰ってくることはなかった。
毎日欠かすことの無いあの鴉が、姿を見せなかったのだ。
Aは漠然とした不安を抱いた。
「もしかしたら、怪我をして動けなくなっているのかもしれない。」そう思った彼女は、思い立ったが吉日という言葉を思い出す。
しかし、今は童磨との鬼事の最中。
安易に近づいてはかえって、皆を危険に晒してしまうだろうか…と悩んでいると、ふと目の端に藤の花の香袋が目に入った。
以前、カナエとしのぶが「童磨には気休め程度にしか効かないだろうが、無いよりはマシだ」と言って、Aに渡したものだ。
かなり強い匂いのする藤を入れたようで、置いておくだけで部屋にその香りが充満する程だ。
それが四つもある。
Aは躊躇うこと無く、全てを懐に忍ばせると、立てかけておいた刀を腰に差した。
『雲取山に行ってくる』
「留守ハマカセロ！」
翼を広げて桜柱を見送る浅葱をAは一撫ですると、勢いよく走り出した。
現在の時刻は、早朝四時。
今の時期は冬のため、日が出るまで多少時間がある。
鬼が突然襲いかかってくる場合も少なくはない。
十二鬼月でなければ、懐にある香袋の効果で寄せ付ける事は無いだろう。
走り続け、着いた頃には既に辺りは明るくなっていた。
しかし、雲取山の上空は厚い雲で覆われ、太陽の陽が差し込める事は無かった。
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ゆり - え！待って、私も桜柱なんだけど❗しかも、桜の呼吸一緒です (2021年11月11日 20時) (
レス) @page1 id: b7d6d649b3 (このIDを非表示/違反報告)
＊舞夜＊(プロフ) - 面白かったです！ �，任�願いします！！ (2021年10月4日 18時) (レス) @page49 id: a571a62cd6 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 安仙任さん» こちらこそ、引き続き読んでいただきありがとうございます！ (2021年1月7日 15時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - 続きを書いてくれてありがとうございます。これからも応援しています！私は�，�いいです！ (2021年1月7日 13時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
蕨 - �，任茲蹐靴�お願いします (2021年1月7日 11時) (レス) id: e40d74d461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2020年4月7日 16時
