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「…これは、懐かしい顔がいるね。」
その言葉に、敦はえ。と声を漏らす。
『……さァ。知りませんね。』
フイッと顔を背けるAに、太宰は切ない表情を浮かべた。
その二人を見て敦は困惑する。
「しかしまぁ、私は自決しようとしていたのだが…人に迷惑をかけない清くクリーンな自決が、私の信条だ。なのに君たちに迷惑をかけた。これは此方の落ち度…何かお詫びを」
話を遮る様に、再び敦の腹の虫が鳴った。
「空腹かい？少年。」
先程パンを平らげたのに、何故また腹の虫が鳴るのだ。と、心の中で少々不機嫌になるA。
「実はここ数日何も食べてなくて…」
『…ん？』
敦の謎な発言に、Aは彼の肩に手を置いた。
さっき私のパン食っただろ？と言いたげな瞳を彼に向けて。
だが、きっとここはそう言って太宰に、たらふく食べさせて貰うつもりなのだろう。
次の刹那、太宰の腹の虫も大きな音をたてて鳴った。
「私もだ。ちなみに財布も流された。」
「ええっ？そこはお礼にご馳走っていう流れじゃ」
敦の言葉に頭を傾ける太宰。
その光景にデジャヴを感じていると、向こう岸から誰かが叫んだ。
「こんな所におったか！！この唐変木！！」
Aも、そちらを向けば、眼鏡をかけ腕を組みスーツを着こなす男がいた。
おまけに、その手には「理想」と書かれた手帳を持っている。
武装探偵社の国木田独歩か。とAは冷静に思い出す。
「おー！国木田くんご苦労様！」
手を挙げ、彼の名を叫ぶ太宰。
それに対して怒鳴り散らす国木田。
「苦労は凡てお前の所為だ！お前はどれだけ俺の計画を見出せば」
「そうだ君たち、良いことを思いついた。彼は私の同僚なのだ。彼に奢ってもらおう。」
『…ちょっと待ってください。』
太宰の言葉に待ったをかけるA。
その額には冷や汗が流れる。
彼女の表情を見て口角を上げる太宰。
「何かな？」
『私もご一緒する流れですよね？』
「勿論だとも。君も私の恩人ではないか。大人しく、奢られなさい？」
それとも、何か私と行けない理由でもあるのかい？
有無を言わせないその発言に、Aはたじろぐ。
しかし、人虎のこれからの足取りを知るいい機会かもしれない。と思い数秒後に、行きます。と返した。
その返事に太宰は、満足そうに微笑む。
向こう岸で、国木田が「聞けよ！」と叫んでいた。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです！！続きがすごく気になる…頑張ってください！応援してます！！ (2020年8月25日 19時) (
レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています！これからも頑張ってください！！！ (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2019年4月29日 17時
