27 ようこそ ページ29
探偵社の下にある「喫茶うずまき」にて、一人の少年の謝罪声が木霊した。
「すンませんでしたッ!」
谷崎が
「その…試験とは云え、随分と失礼な事を」
「ああ、いえ、良いんですよ」
彼の行動に敦は動揺しながらも、手を左右に振り笑顔を返す。
彼らを見ていた、国木田は呆れた様に「仕事だったのだから謝る必要は無い」と云うが、すかさず太宰は国木田を茶化す。
二人を無視して、敦の隣に座っている裕眞は笑いながら云う。
「谷崎さんのあの狂った爆弾魔、俺は結構好きでしたよ?」
「狂ってる感じが」と裕眞が狂ってるという言葉を強調する。
「裕眞君…忘れてくれないかな…?」
「どうしてです?録画したかったくらいですよ?」
「ナオミも録画して欲しかったですわ!」
妹と裕眞の意見が一致し、ハイタッチをする彼らに谷崎は「ボクの黒歴史…」と呟きながら涙を流した。
苦笑いする敦の隣で、裕眞の携帯が鳴り出した。
電話の相手は高校の友人で、彼いわく持って帰った参考書が裕眞のだったらしく、今から取りに来て欲しいようだ。
「すみません、国木田さん。ちょっと出てきます」
「ああ。あまり遅くなるなよ」
「取りに行くだけですので!」
そう云うと、走ってうずまきを後にした彼。
「ええと、裕眞君行っちゃったけど、改めて自己紹介すると…ボクは谷崎。探偵社で手代みたいな事をやってます。……そンで、こっちが」
「妹のナオミですわ!」
ぎゅっと兄の腕に抱きつく彼女。
その兄妹を見て、敦は額に変な汗を垂らす。
「き、兄妹ですか…?…本当に?」
疑いの瞳を向ける敦に、ナオミはうっとりした表情を向け乍ら兄の服の中に手を伸ばす。
「あら、お疑い?勿論血の繋がった実の兄妹でしてよ?」
「この辺りは本当にそっくりで」と云い乍ら、サワサワと兄の肌をなぞる。
異様な兄妹に、敦は目を白黒させ信じられないと云いたげである。
その中、コホンッと咳払いした国木田が口を開いた。
「とにかくだ小僧。貴様も今日から探偵社が一隅」
国木田が敦に向かって真剣に云い始めた刹那、ナオミが外の何かに気づいて嬉しそうに、慌てた様子で外へと走っていく。
咄嗟のことで、谷崎は何があったのか聞けなかったが、妹の嬉しそうな顔を見てさほど気にしてない。
「ゆえに周りに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな。俺も他の皆もそのことを徹底している」
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時