24 立て篭り ページ26
「嫌だァ…もう嫌だ」
机の上に腰掛け、その手には爆弾の起爆装置がしっかりと握られている。そして、その足元には人質の少女と爆弾があり、事の重大性に敦は震えた。
それに対して、太宰、国木田、裕眞は冷静に状況を見て、裕眞に関しては面倒臭いとまで思っていた。
犯人の少年は、興奮している様子で、社長を出さないと爆発させる等と叫ぶ。
「あちゃー」
「怨恨だ」
「ウチは色んな処から恨みを買いますからね〜…特に太宰さん」
「ん？なんのことかなぁ？」
惚けるのも甚だしいほどの笑顔を浮かべられ、裕眞と国木田は溜息をつく。
どうやら爆弾は、高性能のものでこの部屋くらいは吹きとばせる威力があるらしい。
それを知った敦は、恐怖ですくみ上がる。
「社長は出張中ですし…人質を何とかしなきゃですね」
冷静な裕眞の言葉に、太宰と国木田は互いを睨み合う。何をする気なんだ！と冷や汗が垂れる敦。
次の刹那
ポンッ
国木田はチョキ、太宰もチョキ。相子である。
そう、この局面下で大の大人がジャンケンをし始めたのだ。数回相子が続くと、最終的に太宰が勝利した。
ドヤ顔の太宰にイラつきながらも、国木田はスタスタと爆弾魔へと近づく。
「おい、落ち着け少年」
「来るなァ！吹き飛ばすよ！！」
少年は、起爆装置を国木田へグイッと伸ばし、指を釦にかける。かなり興奮している様子だった。
すると、国木田はこれ以上刺激を与えまいと思ったのか、両手を上に挙げる。
「知ってるぞアンタは国木田だ！妙な素振りをしたら道連れだ！」
声を荒らげる少年に、まずいな。と太宰は漏らす。
「あー…これは顔と名前が完全一致してるやつですね」
「そのようだ。これは私が行っても刺激を与えるだけになりそうだ」
「俺でも同じでしょうね」
ふと、二人の目線が敦に集中する。ニタァと笑う太宰の表情を見た瞬間、敦の背に寒気が走った。
＿＿＿＿
＿
「や、やめなさああい！親御さんが泣いてるよ！」
「なんだ！アンタ！！」
弱腰の敦に対して、気迫の増した少年が怒鳴るものだから、敦は泣きそうになる。
「た、ただの通りすがりの一般市民ですっ！い、生きていれば好い事あるよ！」
「好い事って？」
「はっ！？」
「だから好い事ってなに！？」
まさか、具体例を出せとくると思ってなかった敦は、言葉に詰まり冷や汗が流れる。
その様を不安そうに国木田が見つめる。
「ち」
「ち？」
「ちゃ…茶漬けが食える！茶漬けを腹いっぱい食える！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マナ(プロフ) - とても面白かったです！！続きがすごく気になる…頑張ってください！応援してます！！ (2020年8月25日 19時) (
レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています！これからも頑張ってください！！！ (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2019年4月29日 17時
