23 既視感 ページ25
流れるままに太宰について行っているわけだが、どうやら彼は敦に仕事を与えてくれるようだった。
「伝手の心当たりがあるから、まずは探偵社に行こう」
その言葉に続いて「任せ給えよ。我が名は太宰…」などと厨二病の様なうわ言を唱え始めた太宰に、敦はジト目で彼を見つめる。
すると、聞き覚えのある声が道中に響いた。
「こんなところに居ったかァ!この包帯無駄遣い装置!!」
その言葉にちょっと気づ付いたのか、太宰は頭を抱えていた。
それに畳み掛けるかの如く、国木田の隣にいた少年が云う。
「あれ、太宰さん、生きていたんですね。死体回収しようと来たのに」
先程まで話に上がっていた、岸裕眞が光のない瞳で太宰を見つめるものだから、更に彼の心はえぐられた。
「この非常事態に何をとろとろと歩いているんだ!」
何の対抗心を燃やしたのか、はたまた通常運行なのか、太宰はまたまた「そんなに怒ると痔になるよ」と云う。
まさか、そんな嘘臭いことをあの国木田が本気にするものか。と思った敦が国木田に目をやると、当の本人は目を見開き何やらショックを受けている。
「何!本当か!」
「ほらほら、メモしないと」
既視感溢れるそのやり取りに、敦と裕眞はジト目になってしまう。
そして、国木田が真面目にメモしている最中にこの言葉
「嘘だけど」
バキッと本日で何本目か分からぬ、国木田の万年筆が折れる音が聞こえた。
ドカドカと殴り合い(一方的)が始まる中、つまらなさそうにしていた裕眞が敦に話しかける。
「はじめまして。事務員やってます、岸裕眞と云います。」
「は、はじめまして!中島敦です。」
綺麗な茶髪とオレンジ色の瞳だな。
これが敦の第一印象だった。
彼の纏う雰囲気は、とても柔らかく彼の優しさが滲み出ているようだった。
けれど、敦はそのオレンジ色の瞳をどこかで見たような、既視感を覚えた。
誰だっただろうか?と思っているとき、裕眞が溜息をついて国木田に云う。
「国木田さん、こんな事している場合じゃないでしょう?」
「…ああ!そうだった!」
「あの…緊急事態とは」
「爆弾魔が人質連れて探偵社に立てこもった!」
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時