13 異能力 ページ15
「そもそも変なのだよ、敦君。運営が傾いたからって、養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ。いや…そもそも、経営が傾いたなら、一人二人追放したところでどうにもならない。半分くらい減らして、他所の施設に移すのが筋だ」
淡々と云う太宰に、敦は不思議そうな顔を向ける。
「太宰さん…何を云って」
何を云っているのですか?そう問おうとした途中、敦は窓から覗く月に目を奪われた。
「君が街に来たのが二週間前。虎が街に現れたのも二週間前。君が鶴見川べりにいたのが四日前。同じ場所で、虎が目撃されたのも四日前…」
引き続き、太宰は自身の考え…否、真実を語る。
その二人を横目に、Aは木箱を上へ上へと登っていく。
そして、一番上の木箱に腰かけると、足を組み頬杖をついて彼らを見下ろした。
高見の見物だ。
虎の主な能力、戦闘能力、反射神経、破壊力、其の他諸々を知るために。
また、彼女は太宰の事も観察したかった。四年前に姿を消してから、どんな変化を遂げたのか…興味本位と云った所だろう。
「この世には異能の者が少なからずいる。その力で成功する者もいれば、力を制御できず身を滅ぼす者もいる。施設の人は虎の正体を知っていたが、君には教えなかったのだろう。君だけが解っていなかったのだよ。現身に飢獣を降ろす月下の意能力者。」
嗚呼、自分の見解とそう変わらないじゃないか。
なんて呑気な事を思っていると、敦は淡い光に包まれながら虎へと変化した。
咆哮を上げると、太宰に向かって鋭い爪で切り裂こうと飛びかかる。
だが、その一撃を太宰は簡単に避け、地面はクレーター状にえぐれた。
ヒュゥとAが上から口笛を鳴らす。
その音に気付いた虎は、彼女に向って一直線に飛んだ。
一瞬で迫った虎の爪。
あと数十センチ…と云う所で虎は
否、
『見境なし…か。自我もなく、制御も出来ず…落第点かな。…けどまあ、破壊力は折り紙付きとみた。人の首なンて簡単にへし折れそうだ』
動けない虎の額に、彼女がデコピンをすれば、虎は物凄い速さで地面に激突した。
土煙の中、虎はまるで身に付いた水を払う如く、体を振り咆哮を一つ上げた。
『…怪我もないか』
獣は、彼女を視界に入れても唸り、睨みつけるだけだった。
本能から彼奴は敵わない。と悟ったのだろう。
必然的に次の矛先は、太宰へとなる。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時