10 人虎 ページ12
ただの探偵ではなく、武装探偵社だと国木田が云えば、敦は驚いたように目を見開いた。
Aもまた、驚いたふりをした。
「あの鴨居丈夫そうだね…人一人釣れるくらい…」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな!!」
「知らないの国木田君?首吊り健康法だよ?」
「なに!?健康にいいのか!」
素直に太宰の嘘を真に受けるなんて、この人中也以上に苦労してるンだろうな。
とAは心の中で国木田に同情して手を合わせた。
「ほらほら、メモしないと」
「く、び、つ、り、け、ん、こ、う」
「嘘だけど」
バキッと万年筆が勢いよく折れる音がした。
国木田にしたら、太宰の所為で、何本目か分からぬ万年筆が折れたのだ。
そりゃあ頭にきて太宰を振り回す。
その姿を見て敦は、本当かなァ。と半信半疑に陥った。
話が進まない事に痺れを切らしたAが口を開いた。
『今日するはずだッた仕事とは何ですか?』
彼女の問いに、敦も賛同するように頭を上下に揺らした。
太宰を振り回していた国木田は、その手を話すと二人に振り返った。
「虎探しだ。」
彼の言葉に二人は固まった。
敦は、自分の周りにあの虎が現れる事に苛まれていた。この二人がこの付近で虎を探しているということは、また奴と出くわす可能性が高いということだ。と背中に冷や汗が伝い落ちる。
Aは、首領の命で米国の
なのに、探偵社も人虎を探している?組合は探偵社にも依頼をしていたのか?と一瞬目元が歪んだ。
だが、探偵社はまだ虎が
その時点で組合の話は消えるのか。と安堵するA
Aの目元が一瞬…ほんの一瞬歪んだ事を、太宰は見逃さなかった。
そして、彼の中の疑惑が確信へと変わった瞬間でもあった。
「近頃、街を荒らしている人食い虎でね。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。最近この近くで目撃されたらしいのだけど…」
太宰の言葉で確信を得た敦は、椅子から勢い良く立ち上がった。
その行動に三人の視線が集中する。
「ぼ、ぼぼぼ僕はこれで失礼します」
百八十度体を回転させると、走り出す敦。
…しかし、その足は宙を蹴っていた。
なぜなら、国木田が彼の襟を掴み持ち上げていたからだ。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時