9 関係性 ページ11
辛辣な彼女の言葉に、分かりやすく項垂れる太宰。
絶対にこいつ、本気で項垂れてないな。
と、目を細めながら茶を置くA。
この二人の関係を疑問に思ったのか、国木田がAに問いかける。
「娘、太宰との」
『岸Aです』
娘と呼ばれるのが嫌だったのか、話に割り込んで自分の名前を呼ばせようとする彼女。
「では、岸。貴様と太宰の関係は何だ?…知り合い…と云いきれる仲ではないだろう?」
『…まァ、バイト先の元上司…と云った所でしょうか』
「なるほどな…通りで此奴の扱いが慣れている訳だ」
元上司。その言葉に太宰はピクリと反応した。
兄とは紹介せずに、元上司と一線を引くとは四年前に何も云わずに出て行った事を相当根に持っているのだろう。と太宰は珍しく本気で頭を抱えそうになった。
ふと、国木田が岸と名乗った少女の瞳を見た。
そのオレンジ色に輝く瞳に見覚えがあったのだ。
それが誰の瞳か思い出し、疑問を吐き出そうとした刹那
「はーー食った!!もう茶漬けは十年は見たくない!」
いきなり、ようやく満腹になった敦が、自身のたぬきの様な腹を叩きながら言ったのだ。
もうそれは、ここは天国。と云っても可笑しくない顔で。
タイミングを失くした国木田は、色んな意味で敦を睨みつけた。
「お前…」
だが、その国木田を無視して敦は続ける。
「いやほんっとーに助かりました!孤児院を追い出され横浜に出てきてから食べるものも、寝るところもなく……あわや餓死かと」
ポツリポツリと話し始めた敦の言葉に、太宰は興味を示した。
「ふぅん。君、施設の出かい」
「出というか……追い出されたのです。経営不振だとか、事業縮小だとかで。」
「それは薄情な施設もあったものだね。」
二人の会話にAは少々引っかかる所を感じた。
たかが、経営不振や事業縮小などで一人を追い出すか?
そこで彼女はある事に気づく。
彼は人虎…施設の人間は彼が虎になる事を知っていたのではないか。
それならば、辻褄が合う。
「お二人は何のお仕事を?」
ふと、敦の声が耳に入った。
この話は自分も初めて知る程で聞かないと、後々怪しまれる。
そう思い、Aも「気になります。」と声をあげた。
「なァに……探偵さ。」
この人がキメて云っても、詐欺にしか聞こえないのは私だけだろうか…。と太宰にジト目を送るA。
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 17時