159 睦月という少女 ページ30
「…あ、るじ?」
「みんなっ!良かった…本当に…頼りない主でごめんなさい。」
「本物の、主様だ」
目を覚まし始めた刀剣男士たちに、涙を流しながら喜びと謝罪を繰り返す睦月。
その彼女に初代が近付く。
『睦月、貴方に聞きたいことがあります。』
「は、はい!初代様!」
ビクッと肩を震わせながら、涙を拭い初代へ振り向く睦月。
彼女の怯え様に刀剣男士達は初代を睨む。
ああ、すっかり怯えられてしまった。と初代は残念そうに肩を下ろす。
『貴方は育成校を卒業しましたか?』
「っ……いいえ。…私は、一般人より少し霊力が高いただの高校生です。」
やはりな。
そう思った初代は顎に手を当てて、何かを考え込む。
それを見た睦月は不安気に下に俯き、肩を震わす。
『では、なぜ雅と審神者を勝手に交代したのかしら?』
「そ、それは…」
『三年前までのここの本丸の記録は全て削除されていました。まぁ、それは彼女の偽装工作だろうと、こちらは把握済みです。』
まだ怯えている睦月に初代は微笑みかける。
『取って喰ったりはしませんよ?』
その言葉を聞いてようやく睦月は口を開いた。
「私は、政府の人に誘われて、審神者になりました。けど、三年前…雅と名乗る審神者が現れたんです。育成校を卒業していない者は、審神者になれない。即刻立ち去れと。
だから私は、育成校に通おうとしました。でも…」
『一般枠は育成校に通う事が難しい。しかも、一度審神者として就いてたため、尚更受け入れてくれなかったのね。』
「はい…その通りです。凄く悔しくて悔しくて…あの女にいとも簡単に私の本丸を乗っ取られた。無知だったために、口車に乗って手放してしまいました。」
『けど、どうやら彼女に勝つ術を学んだようね?』
確信をつく言葉に、睦月はあんぐりと口を開ける。
「はい。その通りです…。三年間、基礎から独学で学び、対抗策を練りました。」
それで、返してだの規則違反だの口論してたのか。と初代は納得する。
『事情は分かりました。貴方にならこの本丸を任せそうね。』
「えっ…」
初代から予想外の言葉が飛び出し、睦月は思わず声を漏らした。
「…お咎めは無いのですか…?」
『ん?』
今度は初代が不思議そうな顔をして、声を漏らした。その光景を見た、初代の二振りがクツクツと喉で笑いだした。
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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (2023年5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年9月29日 22時