157 助力 ページ28
彼女を取り巻くかのように現れた黒い龍。
神聖なその姿に、初代は目を細め、睦月は腰を抜かした。
雅は勝ち誇ったかのように高笑いをする。
『九頭龍大神…確かに才はあるようね。』
「観念した?」
『まさか。両腕が動くこの状況下で私が負けるとでも?』
パンッと両手を合わせると、地面の文字が弾け飛び初代は自由の身となった。
初代が、呪を解除したのは想定内のようで、全く動じない雅。
早くもAの実力を多少ではあるが、理解したらしい。
『お初にお目にかかります。龍神様。』
笑顔をむけるが、何も返答が無いのを見て、やはり人型でなければ話すこともままならないのか。と心で思う初代。
それすらも雅の計算内なのか。
または龍神の自我を彼女が押さえ込んでいるのか。
それなると、彼女は多少なれど頭がきれる可能性も見えてくる。
「お分かり?無駄よ。」
彼女はなぜ、呪を破られると承知の上で龍神を呼んだのか。焦りの表情を見せない姿を見て、Aは眉をひそめる。
何かされる前に手を打とうと、懐の札を使おうとした瞬間
「させないわよ!!」
雅が印を構えると、龍神の目が赤く光り輝く。
それを両目で捉えた刹那、初代は一ミリも動けなくなってしまった。
龍神の気がAにまとわりついたのだ。
声すらも出ない状況に陥り、Aは動揺した。
ここまで龍神の力を引き出せるとは、想定外だと。
「どう?声が出せず、印も組めず。近くに刀剣男士もいない。あんたには何も出来ないでしょう?」
「…しょ、初代様っ……」
「貴方も私と戦う?腰抜けちゃん」
「ひっ…」
すっかり腰が抜けてしまった睦月は、目尻に涙を貯めていた。雅は、口元を袖で隠しているつもりだが、天を仰ぎながら高笑いをすれば、笑っている大きな口が見えた。
これで雅の勝ちが確定したと、睦月は思っていただろう。
だが、それを良しとしない者が一人存在した。
『愚かな娘だ。』
凛とした声が響いた。
二人の視線が初代を貫く。
「…馬鹿な」
『龍神如きにやられるなど情けない。』
初代の金の片目が怪しく光ったと思うと、一瞬で龍神の気が霧散する。
『そなたは本来の地へ還れ。九頭龍大神。』
初代が龍神へ手をかざすと、その神は砂のように消えていく。
それと共に、Aの瞳も輝きを失った。
「っ!何をした!?」
『神に対抗出来るのは神のみ。だから、私もかの神へ助けを求めた。それだけよ。』
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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年9月29日 22時