目的地を見付けた日 ページ5
ボーとヘンリーと歩き続けて、数日が経った。
周りの人たちは、小さな私とのっぽなボーを見てじろじろと見て来ていたが、その際はボーが一本の絃だけのギターを取り出して私の手を引いて「彼と一緒に奏でる一曲を聞くかい?」と言って近寄る。
大体はそれで片付くみたいだが、それでもガラの悪い男の場合は殴りかかろうとしてくるのでヘンリーとボーが必死に食い止めていた。その様を間近で眺めるしか出来無くて、ヘルメットの奥で小さく震えていた。
「……ここ、かな……どうだい?」
「……」
「ルーカスも良いって、頷いている。俺もここが良いと思うぜ」
ボーは沼地……反対方向にはみつばちってものがいるとか何とかで、近寄らない方が良いと言われていたがそれを除いたら普通に沼地は静かで湿った雰囲気も何故か幼い自分でも好きになれる場所だった。
「じゃあ、ここら辺に家を構えよう!どこが良いのか、ちょっと見回ろう?」
「そうだな、ルーカスも良いと思った場所を教えろよ?」
珍しくヘンリーが手袋越しの私の手を握って来て、すたすたと歩み出す。
そのまま沼や池がたくさんある湿地帯を歩んでいて、自分もぬかるみが多い道を草を分けて歩いて行くしかない。
「でも地盤が緩いから、固い所を選ばなきゃね」
「そうだよな……ここは良いけど、少し離れた別の場所で家を構えるのも良いかもなあ……」
「……」
「ルーカスには分からないよな、地盤の話なんて」
「まあ、俺たち兄弟が快適に過ごせる所さえ見つかれば良いんだ」
地盤のどうこうはあんまり分からないので、彼らの話は聞き流していた。
「まあ、どうこう悩むよりまずは休みたいな」
「近場にバーがあるから、そこでお酒でも飲むかい?」
「良いな、それ!ルーカスはお酒以外でも飲もうぜ」
沼地の一番端っこにあるバーで、マスターのおじさんにお酒二本とたまたまあったココラコーラを一本頼んでいた。
それを持って、バーの空いている席に座り込んで買ったばかりの飲み物の蓋を開けた。最近はプルタブを開けれるようになったので、ボーとヘンリーからほめられるようになっていた。
「じゃあ、乾杯だな!俺たちの良き永住する地を見付けたってことで」
「そうだね、じゃあ、ルーカスもココラコーラの缶を出して」
ボーに言われるがまま、缶を上へとかかげて彼らの酒瓶にくっ付けようとする。すると、向こうは私の位置に合わせて瓶を落としてくる。
かつんと良い音が、合わさった瓶と瓶と缶の間から聞こえてきた。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時