転がる日 ページ32
皆一緒に洞窟の外に出ると、相変わらず死体の山で見慣れてしまった私も大概だと思いつつ進んでいた。
「……！！」
「おや、お嬢さんか……ナイトを二人連れてどうしたんだい？」
目の前にいる青年は先日洗顔中の私に声をかけてきたその人で、しかも私を今お嬢さんと呼んだのだ。
そのことに動揺していると、ジャックはきょろきょろとしていた。
「え、お嬢さんってどこ？女の子のこと？」
「気のせい、だ、だって」
「……彼女の好きなようにさせているみたいだ。君は彼とは全く違う育て方をしていたみたいじゃないか」
私の方へと歩み寄って来る目の下に派手気味なペイントをしている男は、私のヘルメットに手を伸ばしてくる。
ブラッドの旅の際でも時々会ったことがあるが、こうしてかなり近付いて接してくるとは思わなくて身体が強張った。
ボーは私を庇って、男から離した。
「もう良いだろう？オレたちは地響きを知りに来ただけなんだ、じゃあね」
ボーは私の手を掴んで歩いて去ろうとしたのだが、ジャックは私をじっと見ているだけだった。
「……え、えっと……ルーカスって、女の子、なの……？」
「……！……！」
「ち、違うからね！彼は男だからね！何を言い出すんだいっ！？」
ジャックは私たちを控え気味に見ていて、自分たちはそれに対して食い気味に否定をする。
それを見た目の下にペイントをほどこした男は、私のヘルメットにいつの間にか手を伸ばしていてがっと取った。
「！？」
「やはり綺麗な顔をしているお嬢さんだ。ミラー研究員も彼の妻も顔は良い方だったからね」
「！や、止めてくれ！彼は……彼女は……！好きなように生きさせてやってくれないかい！」
ボーは大慌てで私を手繰り寄せて、ぼさぼさの金色の長い髪を撫でつつも男に対して警戒の眼差しを向けていた。
言葉は滅茶苦茶な並びをしていると言えども、彼の必死さが窺える。
「え、っと……お、女の子って、この世界に……二人、いたの……？」
ジャックは震える声で私たちに訊ねてきていた。
彼はあまりよろしいとは言えない顔色で、私を見詰めている。
あの時の少女とは違って、自分は少女の枠から出そうになっている年齢だった。
「……わ、私……ご、ごめん……だ、騙す気は、無かった、から……」
初めて人前でヘルメットを外して、声を出したような気がした。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます！今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは！嬉しい限りです！またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします！ (2020年9月20日 22時) (
レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとうみさん | 作成日時：2020年4月24日 23時
